2021.05.28 【スマートファクトリー特集】 無人工場を目指して進化中国市場がけん引、実装機好調

世界で関心が高まるスマートファクトリー

はんだ付けロボットもIoT化が進んでいるはんだ付けロボットもIoT化が進んでいる

 新型コロナウイルスの感染拡大で、中国はじめ世界各地で工場閉鎖が起きたことで、製造業におけるBCPやサプライチェーンの在り方が問われている。これまでの労働力不足や人件費高騰の要因に加えて、新型コロナウイルスの人的な感染拡大を避けるために、ロボット導入やスマートファクトリーによる生産自動化、さらには全自動の無人化工場に対する関心が今まで以上に高まっている。

 スマートファクトリーはIoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボットなどの技術によりコストの削減、商品の品質向上、労働時間や労働環境の改善など生産性を大幅に改善する。装置の故障予知、生産不良が発生した場合には、人を介さずに装置間で原因を突き止めて自動的に修正するなども可能になる。

 表面実装(SMT)ラインは、これまでは主にクリームはんだ印刷機、実装機、はんだ付け装置(フロー、リフロー)、プリント基板検査装置で構成していた。

 最近は表面実装の前後工程まで自動化するため、前工程では実装ラインに供給する部品を保管する自動倉庫、自動倉庫から実装ラインまで部品を搬送するAGV(自動搬送車)、後工程では部品や異形部品を自動実装する異形実装機、はんだ付けロボットなども実装ラインに組み入れてLANなどでネットワーク化し、ソフトウエアでライン全体を自動化している。

 今後はローカル5Gも導入され、さらに進化していくことになる。

シミュレーション技術の導入

 実装機各社は、スマート化のためにデジタルツインなどによるシミュレーション技術を導入し始めている。

 生産現場の自動化を推進する際の課題の多くは、自動化すべき工程の特定と自動化機器の選定にある。自動化設備の導入効果が薄くなってしまうリスクを回避するために、事前の確認が重要となり、デジタルツインのシミュレーション技術の活用が有効になる。

 デジタルツインは、フィジカル(物理的)なリアル空間の情報をIoTなどを活用して、リアルタイムでバーチャル空間に送り、その空間内にリアル空間の環境を再現する。既存の表面実装ラインをバーチャル空間に再現し、リアルでは数値化が難しかった人間の作業負荷を考慮することで、実装工程の課題を可視化する。

 また、自動化機器を導入した場合やオペレーションを変更した場合の効果の可視化も可能になる。バーチャル空間でモデル化することで、AGVや部品自動倉庫の台数、作業者数、作業動線など、工程ごとにパラメーター設定が可能で、導入効果を確認できる。

3D化が進む基板検査装置

 表面実装ラインに用いられるプリント基板検査装置は「はんだ印刷検査装置(SPI)」と「外観検査装置(AOI)」があり、プリント基板の良否を左右する重要な役割を担う。

 従来は人が目視で検査していたが、検査に熟練を要することや、スマートフォンのプリント基板に搭載される部品が0.2×0.1ミリメートルサイズなど極小化し、プリント基板の配線も高密度化されるなどにより、目視検査が難しくなってきたことから、需要は世界的に広がっている。

 これまではプリント基板の平面(2次元)に光を照射して画像処理する方式で検査していた。最近は平面検査に高さ検査も加え、より精密に検査する「3次元(3D)方式」が主流になっている。

 スマートファクトリーでは、プリント基板検査装置で不具合が判明した場合、前工程のはんだ印刷機や実装機に信号を送り(フィードバック)、不具合を自動的に修正する自己完結型の生産ラインを実現する。

はんだ付けロボット普及

 車載基板などでは、大型コンデンサーやSMD対応ではない部品を搭載するケースが増えている。これまでは手作業だったはんだ付けや、基板への搭載を自動化する異形実装機、はんだ付けロボットが普及しつつある。はんだ付けロボットもスマート化が進み、ソフトウエアによってはんだ付けロボットの状態を監視し、自動的にデータを収集・保存。保存した稼働データがさまざまな形で活用がなされている。

 はんだもプリント基板の品質を左右する。業界標準の「SAC305」(3銀と呼ばれる)から用途に応じて多元素化したり、ボイド抑制やノンハロゲン化が進んでいる。

中国市場が好調

 表面実装技術・製品展「ネプコンチャイナ2021」が、4月に中国の上海世博展覧館で開催された。同展示会は中国企業のほか、日系、欧米系など合わせて約700社が出展したが、会場ではSMT業界で世界をリードする日系実装機各社のスマート化、自動化の提案に来場者の関心が多く集まった。

 中国は製造業が第5世代高速通信規格5G、EV、半導体、インフラ、ネットワーク関連、生産自動化などさまざまな分野で活況で、実装機関連の動きも好調に推移している。

 日本ロボット工業会の2021年1~3月のロボット統計によると、実装用ロボット(実装機)は輸出額の6割以上を占める中国向けを中心に主要国向けで好調で、全体をけん引した。