2021.06.23 【テクノフロンティア特集】ノイズ対策5G向け開発活発化
車載CAN-FD用小型コモンモードフィルター
電子機器・システムの高機能・高性能化に伴い、ノイズ対策技術の重要性が一段と高まっている。ノイズを出さない、ノイズに耐えられる製品の開発が定着化。第5世代移動通信規格5Gの普及本格化に向け、ノイズ対策部品の新製品開発が活発化している。
5Gは高周波帯域を使用することから、マテリアルの高周波対応が必要になる。ノイズ対策部品は、高周波化に伴って小型化するが、高周波帯域での効果的な減衰量を確保することが重要。
5Gは専用端末だけにとどまらず、自動車や製造装置など、あらゆる産業分野に波及していくため、超小型タイプから大型品までさまざまなノイズ対策部品が要求される。電子部品各社は、これらをターゲットに新製品開発を加速させている。
自動車は、CASEの進展に合わせ、ECUの搭載点数が増加し、機器間を接続するためのインターフェースにおけるノイズ対策が必要不可欠。特に、ADAS/自動運転技術の高度化に必須の車載カメラやミリ波レーダー、LiDARなどでは、誤動作は許されない。EVなどの電動車でのモーター駆動系も強固な対策が求められている。
産業機器分野では、モーター駆動、インバーターの普及などによって、ノイズ対策の重要性が一段と高まっている。
このため、コモンモードチョークコイルの搭載が広がっている。コモンモードチョークコイルは、小型で高減衰量を得るためにコアとして使用されるフェライトの高性能材質の開発が進展している。
スマートフォンでは、小型のボディーに多くの機能が搭載されるようになり、隣接部品間の電波干渉の施すことが重要。マルチバンド化に伴い、利用周波数が複数化していることから、より高度な対策が必要となる。
スマホのノイズ対策として一般的に利用されているのが、フェライトチップビーズ。既に0402サイズまで量産化されている。
LCフィルターは、積層、薄膜などの高速差動伝送ラインの対策に用いられている。ESD対策用に、超小型サイズの積層チップバリスターの商品展開も進められている。
ノイズ抑制シートは、ICのパッケージ表面やコネクター、FPC(フレキシブル・プリント・サーキット)など、ノイズの発生源や伝送路に貼るだけでノイズを抑制する。同シートは、磁性体粉末を樹脂中に分散・混合しシート状にした構造の製品で、製品に含まれる磁性材料が自然共鳴して、電磁波エネルギーを熱エネルギーに変換することで高周波ノイズを効率的に抑制する。5G対応の高周波帯域向け製品も開発されている。