2021.07.02 【家電総合特集】冷蔵庫大容量・鮮度保持性能を追求、在庫情報通知など拡充

巣ごもり需要の増加で冷蔵庫の買い替えが進む

 冷蔵庫は、コロナ禍による巣ごもり需要の拡大で、好調な推移を示している。調理家電の好調さにも見られるように、キッチン家電全般は内食化の進展により、注目されるようになった。

 近年は共働き世帯の増加を背景に、まとめ買い需要の拡大に対応。冷凍食品や総菜、作り置きをしっかり収納できる大容量冷蔵庫のウエートが高まっていた。

 こうした流れに、コロナ禍で在宅時間が伸びて家庭での食事回数が増えたことが重なり、いっそう冷蔵・冷凍庫の大容量化や鮮度保持性能の進化などへの関心が集まるようになった。

 大容量化、鮮度保持性能の進化や省エネ性能の追求といったハードの進化はもとより、このところ各社が力を入れているのは、IoT化による、さらなる使い勝手の向上だ。

 在宅時間の増加に伴う家事の効率化、時短調理へのニーズも強まっており、冷凍保存した食材を活用する調理への関心も高い。よりおいしさをキープできる急速冷凍を実現するなど、調理をアシストする機能も進化している。

 さらに、作り置きやまとめ買いが増える中、鮮度保持性能の進化にも各社は注力。衛生意識の高まりから、庫内の除菌・抗菌対策も含め、野菜にうるおいを持たせて長持ちさせるといった機能に力を入れる。

 在宅時間の増加でキッチンのインテリアに気を配る人も増え、ガラスドアなど、洗練されたデザインを採用する動きも目立つ。

 冷蔵庫の大容量化の一方、限られた設置スペースの中で大容量かつコンパクトな本体設計を取り入れる動きも活発だ。

 本体幅あるいは奥行きに配慮しつつ最大限の収納スペースを確保し、買い替えニーズに応えていく。

 IoT機能では、冷蔵庫内の在庫情報をスマートフォンで確認できるようにし、買い忘れの防止や食品ロスの削減につなげるという新しい動きも出てきている。

 庫内の食材を使ったレシピの提案をはじめとするサービスが充実してきたほか、冷蔵庫の開け閉めを検知した見守りサービスなど、ソフト面での機能拡充は今後さらに加速しそうだ。

 冷蔵庫は年間400万台弱の安定した需要がある。新型コロナウイルス感染症の拡大が影響し、2020年度上期は苦戦が続いたものの、下期、さらには21年度に入って需要は回復している。20年度通期では前期を1%強上回った。

 このうち、401リットル以上の大型冷蔵庫は、数量ベースで前期比4・4%増と好調に伸長している。

 4~5月には冷蔵庫全体で前年同期比9.6%増と2桁近くまで回復した。このうち401リットル以上の大型冷蔵庫に至っては、同16.5%増と大きく伸びている。

 コロナ禍で新しい生活様式が定着しており、より内食化が進むとともに、省エネや鮮度保持などへのニーズは高まっており、今期も安定した需要が見込めそうだ。