2021.07.16 【電子部品技術総合特集】研究開発取り組み日本ケミコン・野上勝憲執行役員

野上 執行役員

社会起点で捉え開発、早期商品化と提案力向上

 日本ケミコンは開発方針として、「研究開発」+「商品企画」の両輪での展開に力を入れている。野上勝憲執行役員は「大切なのは、何を開発するのか、それをどう売っていくのか、ということ。それらを大局的視点で、よりシステマチックに進めるべく取り組んでいる」と話す。

 その一環として2020年4月に従来の「研究開発本部」を「技術本部」に名称を改めた。社会で何が求められているかという社会起点で物事を捉え、顧客ニーズを考え、それに対しわれわれに何ができるのかという発想で開発方針の幹を考える」(野上執行役員)。

 同社は研究開発では、材料開発から製品設計・開発、生産設備開発までを一貫して行う。これらのコネクトを強化し、情報共有化に努めている。さらに、技術本部発足を機にマーケティング部門も取り込み、早期の商品化と提案力向上を図っている。「重視するのは『R&D+D(ディプロイ=社会実装)』。開発技術を素早く市場に投入し、売り上げにつなげる」(野上執行役員)。

 コンデンサーは開発から販売開始までの期間短縮化のための方法を商品開発段階から考えていく。早く顧客に商品を知ってもらうためウェブやユーチューブなどの活用も強化しており、今年4月には公式ホームページの全面刷新も実施した。新サイトはさまざまな機能が追加・強化され、顧客の検索から購入までを完全サポートする。

 開発重点テーマは、5G通信や車載関連を挙げる。「車載は既存分野に加えて、大型の車載専用製品開発に力を入れる。高信頼性の大型品開発にしっかり取り組む」(野上執行役員)。第5世代移動通信規格5G関連はサーバー分野などへの取り組みを強化する。車載でもADAS/自動運転の高度化で常時接続ニーズが高まることから、顧客課題解決のための新製品開発を強化する。

 「自動運転関連は、コンデンサーに加え、電気二重層キャパシターDLCAPやカメラモジュールにも力を入れており、コンデンサーに続く2本目、3本目の柱を育成したい」(野上執行役員)。次世代LIB用導電助剤「NHカーボン」の本格量産化に向けた技術開発も進める。カーボンニュートラルへの技術開発にも積極的に取り組み、アルミ電解コンデンサーでの酸化皮膜最適化による省エネ化などを追求する。

 野上執行役員は「在宅ワークやDX、非接触などのニーズは以前から存在したが、コロナを機に前倒しされている。われわれにはチャンス」と話す。