2021.08.18 【コネクター総合特集】自動車用コネクター自動車の進化に照準、高速伝送・高周波技術など駆使

8ギガbps+対応車載用フローティングタイプ基板対基板コネクター

 コネクターメーカー各社は、自動車市場を中長期の事業拡大のための最重点市場の一つと位置付けており、「CASE」や「MaaS」といったメガトレンドを背景とした車の進化に照準を合わせ、高速伝送・高周波技術や高精細画像伝送、防水、小型・高信頼性技術などを駆使した新製品開発を強化している。

 ADAS/自動運転を支えるセンシングデバイスである車載カメラは、車1台当たりの搭載数増加とともに、製品の高性能化が進んでいる。

 最近の車載カメラは、従来の標準だった30万画素(VGA)から、100万画素クラスへの切り替えが進みつつあり、高速デジタルセンシングカメラへの進化が加速している。

 コネクター各社は、車載カメラの技術進化に対応し、車載カメラモジュール接続用コネクターや、カメラECUインターフェースコネクターなどの技術開発を推進。高画質車載カメラで要求される3ギガbpsなどの高速伝送性能を実現しつつ、小型・高性能で防水性にも優れた製品開発に力を注ぐ。

 自動運転車向けセンシングカメラは、将来的には3メガピクセル、10ギガbpsなどへの進化が予想され、これらに向け、POF(プラスチック光ファイバー)コネクターの製品化も視野に入れられている。

 自動走行レベル3以上の自動運転車で必須のLiDAR(ライダー)についても、多数個使用のための小型化追求が要求され、対応コネクターの小型化も求められる。ミリ波レーダー用コネクターも、一層の小型化と防水性向上が求められている。

 今後、搭載本格化が予想される車載イーサネットコネクターへの参入企業も増加してきた。車載イーサネット用は、通常のイーサネット用と比較して極めて高い信頼性が要求される。

 EV/PHVなどの電動車用では、車載インバーターやモーター、バッテリー周りに使用される大電流/高耐圧対応製品の開発が活発化。定格電圧850V対応品などが開発されている。

 エンジンルーム周辺などでの使用用途向けに、125度/150度対応など高耐熱FPCコネクターの開発も盛んだ。走行時の厳しい振動環境に対応するため、車載用フローティングコネクター開発も活発になっている。

 EVやPHVの本格的な普及には、1充電当たりの走行距離向上が重要な鍵を握る。このため、EV用コネクター/ハーネスへの軽量化ニーズも強く、小型・軽量タイプの車載ECU用コネクターなどの開発が推し進められている。