2021.10.21 「手ぶら」でワクチン接種証明産学が指静脈で共同実証

新型コロナウイルスのワクチン接種や陰性を証明する仕組みに指認証を取り入れた

指静脈を事前に登録している実証実験の参加者指静脈を事前に登録している実証実験の参加者

実証実験で検査結果の判定を行う九州大学病院の医師実証実験で検査結果の判定を行う九州大学病院の医師

 デジタル技術を生かして新型コロナウイルスの検査結果やワクチン接種履歴を「手ぶら」で提示―。鹿島や日立製作所などの4社と九州大学は21日、そんな仕組みの有効性を実証実験で確かめたと発表した。指の静脈で個人を識別する非接触型の生体認証装置を取り入れた。鹿島などは感染リスクの低減対策が求められるオフィスや学校、病院などへの導入を視野に実験を継続し、実用化を目指す。

 今回の実験には3者のほか、臨床検査受託大手のH.U.グループホールディングス(東京都新宿区)と電通も参加した。期間は9月下旬から10月上旬まで。鹿島が所有するオフィスビル「赤坂Kタワー」(東京都港区)で、同社の従業員25人を対象に行った。

 従業員はスマートフォンに健康維持を支援するアプリをダウンロードし、検査予約やワクチン接種履歴の登録を実施。さらに唾液を採集してその検体をラボに搬送し、ウイルス検査方法の一つ「抗原定量検査」を行った。感染有無を確かめる「PCR検査」も組み合わせた。

 一連の検査と病院の医師による問診に基づき総合的に判定した上で、診断結果をアプリに送信するという流れだ。

 緊急事態宣言の解除を受けて人出が急激に増える中、各地でワクチン接種歴や陰性証明を生かした行動制限の緩和が模索されている。接種や陰性をデジタルで証明する今回のシステムは、そうした「ウィズコロナ」時代に対応した新たな仕組みとして注目が集まりそうだ。
(詳細は22日付電波新聞・電波新聞デジタルに掲載します。)