2019.11.26 【5G総合特集】米韓中はじめ世界各地でサービス本格化

 19年4月、スマホに対応した世界初の次世代高速通信規格5G商用サービスを韓国のキャリア3社と米ベライゾンがほぼ同時に開始した。

 5Gは既に18年10月に米ベライゾンが固定無線(FWA)サービスを、12月には米AT&Tや韓国キャリアがモバイルルーターを利用した法人向けサービスを開始しているが、コンシューマが実際に体感できるスマートフォン向けサービスのスタートで5G時代は本格的に幕を開けた。

 以後、欧州、米国、オーストラリア、中東など世界各地で当初の計画を前倒しにしてサービスが始まり、11月1日には中国の3大キャリア(中国移動、中国電信、中国聯通)がサービスイン。携帯電話関連の国際業界団体GSAのレポートによると、現在、中国も含め世界27カ国で50事業者が国際標準化団体3GPPの標準仕様に準拠した5Gサービスを開始。このうち39の事業者がモバイル向け、29事業者がFWAサービスを提供する。

 10月末現在、5Gへの投資を発表している事業者は109カ国328事業者に上り、69事業者がネットワークに3GPP準拠の5G技術を導入済みだ。

 韓国では9月時点で、5G加入者数が300万を突破。年末までには500万に達する見通し。一方、中国では10月初旬で予約者数が1000万を超えるなど期待は高い。対応スマホも中国ファーウェイなど国内ブランドと韓国サムスン電子から計9機種が提供されており、年末に向けさらに盛り上がりそうだ。

 米クアルコムによると、同社の5Gソリューションを搭載したスマホは既に150種類以上が発売済み、または開発中。

 また、GSAによると、スマホも含めた5Gデバイスは11月半ば現在で72のベンダーから183製品が発表されており、このうち42製品が発売中。スマホ単独では54機種が投入されている。商用可能な5Gデバイスのうち、ミリ波に対応するのは14製品という。

 5Gの標準化に関しては3GPPが年末までに、超高速大容量(eMMB)に加え、超高信頼性低遅延通信(URLLC)、多数同時接続性(mMTC)全てのユースケースに対応する仕様「リリース16」の策定を完了する予定。

 また、現在の5Gサービスのほとんどが、4Gのコアネットワークに委ねる「ノンスタンドアローン」型だが、20年以降は5G単独の「スタンドアローン」型のサービスも始まる。これにより幅広い産業で5Gが活用され、市場は一気に拡大すると見られている。

 この巨大市場での覇権争いは既に過熱している。とりわけ基地局はエリクソン、ノキアら欧州勢と中国ファーウェイ、韓国サムスンがシェアを争う。このほか、スマホ用半導体、部品、素材分野の開発も加速しており、5G市場の成長とともに熱い戦いが繰り広げられそうだ。

【5G総合特集】目次

●米韓中はじめ世界各地でサービス本格化
5G用部品・材料動向 基地局や端末への採用が活発化
日本ケミコン アルミ電解コン「MHSシリーズ」 5Gスモールセル対応
KOA 厚膜チップ抵抗器「RS73シリーズ」 抵抗値許容差プラスマイナス0.1%
北陸電気工業 小型、高機能センサー品揃え拡充
トーキン ノイズ抑制シート「バスタレイド」 5G専用シートを提案
中興化成工業 低伝送損失のフッ素樹脂製品訴求
旭工芸 キャリアテープ 高信頼性の各種製品を供給