2021.11.11 「困ったときは相談にのるよ」電器店主らの音楽バンド 思いと魅力をライブで

ステージに立つ大場さん(福岡市のライブハウス「Cavern Beat」)

 とある福岡市内のライブハウス。「電器屋さん、でんきやさん、ナンバーワン!」と軽快なロックナンバーに乗せ、ステージで飛び跳ねる男性がいた。歌っていたのは福岡県志免町で地域電器店「大場ラジオ商会」を営む大場邦彦さん(65)。力強くもコミカルなパフォーマンスで、会場に集まったファンを沸かせた。

 家電販売だけでなく、修理や細かな依頼にも応じる「街の電器屋さん」。そんな電器店の社長である大場さんが4人組ロックバンド「BABOON」を組んだのは2009年。デザインや建築関係で働く仲間とライブ活動を続けてきた。
代表曲の一つ「街の電器屋さんNO.1」は、大場さんが20年ほど前に作詞・作曲し、知人のミュージシャンがロックナンバーにアレンジした。

 歌を書いたころは、周辺に家電量販店の進出が相次ぎ、地元の電器店が苦境に立たされていた。販売会社の知人の勧めも曲作りのきっかけだった。大場さんは「街の電器屋さんは困ったときには、いつでも相談に乗るよ、と歌で伝えたかった」。

 歌詞ではテレビが壊れて困っていると、友人のように相談に乗ってくれる街の電器屋さんがトラックでさっそうと現れる。

 「そうだおいらも相談してみよ きっといい方法を教えてくれる」「頼りになるね 今日から疲れない いつもの暮らしが出来る」(同曲の歌詞から)

 コロナ禍で活動が制約される中、大場さんたちはこの日、8曲を披露した。観客の男性は「(このバンドは)独特の色があるね」とにやり。

 大場さんにとって大切な一曲となった「街の電器屋さんNO.1」。「(歌は)街の電器屋さんの日常やけん、コマーシャルソングにはならんね。思ったことを歌にしただけ。あくまでテーマソング」と笑った。