2022.02.01 【コネクター特集】コネクターメーカーにアンケート電波新聞社まとめ

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 コネクターメーカー各社は、2022年もグローバルでの積極的な事業拡大を目指す。22年のコネクター需要は、好調だった21年に続き、国内・全世界ともに成長の継続が見込まれており、各社は、自動車や産業機器、次世代携帯端末、次世代通信インフラなどの成長分野への展開強化を図る。22年度の研究開発費や設備投資計画も積極姿勢が見られている。電波新聞社がこのほど主要コネクターメーカー対象に実施したアンケート(回答19社)により、浮き彫りになった。

コネクター需要予測

グローバル需要 6社が「2桁以上の増」

 22年(1~12月)の「国内」および「全世界」のコネクター需要予測を聞いた。

 国内需要では、回答16社中、4割弱の6社が「2桁以上の増」と回答。最も多かったのは「10%未満の増」と答えた8社で、「減」とした企業は見られなかった。「グローバル需要」も同様に、回答16社中、6社が「2桁以上の増」と回答しており、「減」とした企業は見られなかった。

 コネクターのグローバル市場は、21年は前年比で2割を超える高い成長を遂げた。22年は21年と比較し、成長率は鈍化するとみられるものの、成長軌道の継続が見込まれる。

コネクター部門の売上高実績・計画

22年度計画 「10~20%未満の増」最多

 各社のコネクター部門売上高の21年度見込みと22年度計画を聞いた。

 21年度見込みは、回答17社中、最も多かったのは「10~20%未満の増」とした9社。「20%以上の増」とした企業も3社見られ、全体では「増」とした企業が8割強の14社に達した。

 22年度計画では、回答15社中、最も多かったのは「10~20%未満の増」とした6社。「10%未満の増」が5社で続き、「減」とした企業は見られなかった。

22年の拡販重点製品分野(用途)

「産業機器(含むFA)」がトップ

 22年の各社の拡販重点製品分野を聞いた。トップの63ポイントを数えたのは、「産業機器(含むFA)」。2番目は「自動車電装品」が59ポイントで続いた。以下、「通信・放送インフラ関連」「携帯電話/スマートフォン」「医療機器」「ウエアラブル端末」の順となっている。

 このほか、「パソコン」「家電/住設」「環境・新エネルギー関連」「航空宇宙・防衛関連」など多様な分野が拡販重点製品として挙げられている(集計方法=上位5分野を挙げてもらい、1位5ポイント~5位1ポイントとして集計)。

22年度のコネクター部門の研究開発費計画

「10%未満の増」と「横ばい」並ぶ

 22年度のコネクター部門の研究開発費計画(21年度見込み比)を聞いた。回答13社と母数が少ないが、最も多かったのは「10%未満の増」と「横ばい」が5社で並ぶ結果となった。

 「10~20%未満の増」とした企業も3社あり、「減」とした企業は見られなかった。

 コネクター業界では、コロナ禍の20年、21年も積極的な研究開発費を計上してきた企業が多い。各社は22年も新製品開発や生産技術開発などへの積極的な取り組みを推進する。

22年度のコネクター部門の設備投資計画

最多は「10%未満の増」と「横ばい」

 22年度のコネクター部門の設備投資計画(21年度見込み比)の質問では、回答13社中、最も多かったのは「10%未満の増」と「横ばい」の5社。「2桁以上の増」とした企業も計3社あり、「20%以上の増」と回答した企業も見られている。

 コネクター各社の設備投資は、10年代半ば以降、高水準が継続している。20年度以降はコロナ禍を踏まえ、不要不急の投資を抑制する動きも一部あったが、22年度は旺盛な需要を背景に、積極投資が計画されている。

海外営業体制拡充

「米国」「中国」「台湾」「ドイツ」の順

 「海外営業体制拡充を進める国や地域」の質問(複数回答)では、最も多かったのは「米国」の60ポイント。「中国」が59ポイントと僅差で続いた。以下、「台湾」「ドイツ」「インド」「タイ」の順となっている。

 最近は米中の摩擦激化や米国政府による中国企業への規制強化の動きなどから、中国市場の不透明感もあるが、各社の中国市場重視の姿勢に変化はない。ただし、昨年8月の同様のアンケートと比較すると、米国と中国の順位が入れ替わっている。

22年度の自動車用コネクター販売計画

過半数が「2桁以上の増」と回答

 「22年度の自動車用コネクター販売計画(21年度見込み比)」の質問では、回答13社中、過半の7社が「2桁以上の増」と回答。うち2社は「2割以上の増」と回答した。半導体不足の深刻化やコロナ感染拡大などの影響から、足元では主要自動車メーカーの減産の動きが続いているが、各社の22年度事業計画は積極的姿勢が目立っている。

22年度の産業機器/インフラ用コネクター販売計画

14社中で8割強の12社が「増」

 「22年度の産業機器/インフラ用コネクターの販売計画(21年度見込み比)」の質問では、回答14社中、8割強の12社が「増」と回答した。「2桁以上の増」と答えた企業が計5社に達した。「50~100%未満の増」と回答した企業も見られた。

 産業機器/インフラ用コネクターの需要は、19年から20年にかけて低迷したが、20年末頃から需要が反転し、21年は年間を通じて高水準が続いた。22年も好調の継続が見込まれている。

2030年に向けた注力分野

次世代自動車、次世代インフラ…

 各社に「2030年に向けて注力していく分野(複数回答)」を聞いた。

 回答18社で、最も多かったのは「次世代自動車」の64ポイント。次いで「次世代インフラ」が53ポイントとなった。以下、「ロボット(産業用/非産業用)」「光エレクトロニクス」「医療機器」「次世代携帯端末」「セキュリティー関連」の順となっている。

 自動車市場は現在、「100年に一度の大変革期」を迎えているとされ、ADAS/自動運転技術の高度化や電動化、車内快適化の追求などがコネクターの中長期の成長をけん引していくことが見込まれる。

 次世代インフラは、30年ごろには次世代の「6G(第6世代移動通信規格)」の立ち上がりが期待されている。

 ロボットは、世界的な自動化ニーズの高まりや、労働人口減少、働き方改革へのニーズの強まりなどが、産業用ロボットやサービスロボットの需要を中長期で大きく押し上げていく見通し。

 通信の高速大容量化が一段と進む中で、光エレクトロニクス関連需要の成長も加速していくことが予想されている。

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