2022.02.07 都市鉱山を掘り起こす進む使用済み家電リサイクル

ビックカメラ店内で販売されている小型家電リサイクル券

 従来は廃棄物だった使用済み小型家電には鉄やアルミ、銅、貴金属、レアメタルなど再利用できる金属が含まれており〝都市鉱山〟とも呼ばれる。一般社団法人小型家電リサイクル協会によると、日本で1年間に使用済みとなる小型家電は約65万トン。うち有用な金属が28万トン(金額で年間約844億円)に上るという。ただ回収される小型家電は15%程度で、環境省の統計では2018年度の回収量は約10万トンにとどまっている。

 こうした有用な資源を活用するため、13年に再資源化を促す「小型家電リサイクル法」が施行された。ステーションで回収する自治体をはじめ、認定事業者、家電量販店などによる取り組みが広がっている。最近、注目されたのは東京2020オリンピック・パラリンピック大会の入賞メダルを使用済み家電の金属から作る「都市鉱山からつくる! みんなのメダルプロジェクト」(東京2020大会組織委員会主催)で、行政や企業など関係者が回収に参加し、資源化への機運を高めた。

 顧客の利便を考え、家電店でのリサイクルの取り組みも進む。

 Air BicCamera アクアシティお台場店(東京都港区)は、パソコンや小型家電を簡単に処分できるリサイクル利用券を販売している。

 商品によっては購入時に無料下取りサービスが付くが、リサイクル利用券のみの販売も。同券を購入すれば、自宅から回収手続きを行い、発送するだけでリサイクルできる。箱に入れば何点でも同一1958円で利用でき、購入者から好評だという。同店長は「売るだけではなく、処分などアフターサービスまで考えることで新規顧客の獲得にもなる」と話す。

 三浦無線商会(名古屋市港区)は、高齢客の買い替え時に電子レンジや掃除機、食洗器など10~15年以上経過した家電を引き取り、業者に引き渡している。

 同社社長が副理事長を務める愛知県電機商業組合は、今年からリネットジャパンリサイクル(名古屋市)と提携し、小型家電の宅配便リサイクル回収サービスを始めた。

 顧客が組合加盟の電器店からリサイクル券を購入すれば、自宅に集配業者が来て段ボール箱に入れた小型家電を回収する。回収可能な段ボール箱は3辺140センチ以内で重量20キロ以内。外出を控えたり、車を利用しなくなった高齢者などの需要を見込んでいる。
(8日付電波新聞・電波新聞デジタルで詳報します)