2022.03.17 福島沖地震 電機各社、状況把握急ぐ家電量販店では休業も

建物の外壁が落下し、フロントガラスが割れた車=17日、仙台市内

 16日夜に発生した福島県沖を震源とする強い地震は福島、宮城両県の沿岸部で最大震度6強を観測。死傷者が出たほか、建物や施設が損壊し断水、停電も一部で続く。震源に近い東北・北関東に生産・販売の拠点を持つ電機、半導体メーカーなどは被害状況の把握を急いでいる。

 ルネサスエレクトロニクスの那珂工場(茨城県ひたちなか市)、高崎工場(群馬県高崎市)は地震発生直後から操業を停止。「生産再開の時期は設備などの状況を見ながら決定する」(17日正午時点)としている。両工場とも一時停電したが既に復電し、用役設備も一部再開。17日朝からクリーンルーム内の装置や被害状況の確認を進めている。
米沢工場(山形県米沢市)も操業を停止したが、17日午前8時現在、テストの一部工程で生産を再開。同日朝からクリーンルーム内の被害状況を精査している。

 キオクシアホールディングスは、岩手県北上市のフラッシュメモリー工場で一部の製造装置が揺れを感知し自動停止したが、生産は継続。人的被害、建屋被害はなく、詳細な影響については精査中という。

 富士通子会社でサーバーなどの製造を担う富士通アイソテックの本社工場(福島県伊達市)では、建屋の一部で外壁や窓ガラスの破損を確認。工場内の安全確認と設備点検を行うため17日の操業停止を決めた。現時点で再開時期は未定。

 日立の自動車部品子会社、日立Astemo(アステモ)では福島、宮城両県にある7工場が被害を受けた。設備点検のため操業を一時停止している。

 電子部品メーカーでは、TDKは秋田、山形、岩手に計13工場を展開しているが、17日午前の時点で人的被害はなく、生産への影響もないという。東北に多くの工場を展開する日本ケミコンも、人的被害や生産活動への大きな影響はない。

 村田製作所は宮城、福島にある4工場・事業所が水道配管などに被害を受けた。地震直後から操業を停止し、再開は被害状況を見て判断する。製品出荷は在庫でカバーできるとみている。

 家電量販店にも影響が出ている。ヤマダホールディングスは宮城で5店舗、福島で4店舗、岩手で1店舗が休業。ガラスが割れるなどの被害が出た。

 ビックカメラグループのコジマは、宮城で4店舗、福島で4店舗が休業。モールに出店する宮城の2店はモール自体が休業し、福島を合わせ残り6店はエントランスで来店客に対応。安全確保を優先しつつ、消耗品の販売や修理品の引き渡しなどを行っている。

 地域電器店も店の商品が落下するなどの被害や、顧客から修理、点検依頼が来ており、対応に追われている。宮城県登米市の長嶋A・Vサービスは、照明器具の落下やエアコンの室外機が倒れるなどの顧客が受けた被害に朝早くから対応した。同店代表は「今後、顧客からの依頼がさらに増えるのでは」と話した。
(18日付電波新聞、電波新聞デジタルで詳報します)