2022.03.28 特殊詐欺防止へAIと犯罪心理学が融合産官学連携で日本初の共同研究

富士通と東洋大学、尼崎市が取り組む共同研究の概要

 後を絶たない特殊詐欺の未然防止に向け、人工知能(AI)と犯罪心理学を組み合わせた産官学連携の取り組みが始まった。富士通と東洋大学、兵庫県尼崎市の3者が、詐欺被害者の判断力低下などの心理状態を推定してリスクを可視化する日本初の共同研究をスタート。30、31の両日には1回目の実証実験を同市役所で行い、特殊詐欺を高精度に検知するAIモデルの構築を目指す試みだ。

 共同研究では、カメラ映像から人の行動を認識する「行動分析技術Actlyzer」など富士通が開発したAI技術を活用。人の行動は歩いたり手を伸ばしたりといった約100種の人の基本動作を学習して不審行動や購買行動を認識するActlyzerをはじめ、顔の表情から感情などを推定する表情認識AI技術、顔の画像からリアルタイムに脈拍を推定するAI技術を使って、顔の表情や脈拍などのデータをカメラやセンサーで取得。これに、東洋大の犯罪心理学に関する研究成果を組み合わせ、特殊詐欺を高精度に検知する特殊詐欺推定AIモデルの開発を目指す。

 警察庁のまとめによると、2021年の全国の特殊詐欺認知件数は、前年比911件増の1万4461件に上り、このうち65歳以上の高齢者を狙った詐欺が88.2%と大部分を占めている。(詳細は29日付の電波新聞、電波新聞デジタルに掲載します)