2022.04.08 最先端AI活用し次世代コロナワクチン開発へNECに国際基金が資金援助

NECが提案する次世代ワクチンのアプローチ

 NECは8日、新型コロナウイルスなど多様なコロナ型ウイルスの発症予防に向け、最先端AI(人工知能)を活用して、長期間効果が持続する次世代コロナウイルスワクチンの開発に着手したと発表した。ワクチン開発を行う機関に研究資金を提供する国際基金「感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)」から日本企業として初めて援助を受け、今後2年間でワクチンの設計に取り組む。

 NECが目指すのは、がんワクチン用に開発した技術を応用し、ウイルスに感染した細胞を攻撃する免疫細胞「T細胞」を活用したメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン開発だ。抗体による感染予防とは異なる免疫応答によって、10年以上効果が持続するとの報告もあり、効果の長期持続性が期待できるという。

設計手法と技術の概要

 ワクチンの設計では、スパイクタンパク質を含む全てのウイルスタンパク質の遺伝子データを分析し、膨大な遺伝子データから最適な組み合わせを発見する作業をAIが担う。

 既存ワクチンと同様に抗体による免疫応答もAIで計算してワクチンに取り入れることで、体内に侵入したコロナウイルスを抗体で不活性化しつつ、T細胞でも攻撃するという二段構えのワクチンの開発を目指す。

 今後2年間でAIを活用したワクチン設計を行い、有効性の確認試験を実施する予定。CEPIからは約6億円(約480万ドル)の研究資金の援助を受ける。

 NEC取締役会長の遠藤信博氏は「最先端AIを活用して次世代ワクチンを開発できれば、新たなパンデミックが起きた際、すぐにワクチンの生産が可能になる」と期待を込めた。将来的には製薬会社と連携して継続開発を目指す。(詳細は電波新聞・電波新聞デジタルに後日掲載します)