2019.12.30 ヤマハ 音場支援システム投入、自然な響きで空間を演出

「AFC4」(イメージ)

ヤマハミュージックジャパンは、プロフェッショナルオーディオ機器の新製品として、同社が開発したホール・劇場や多目的な空間における響きを、用途に応じて変化させることができる音場支援システム「Active Field Control(AFC)」の第4世代モデル「AFC4」(オープン価格)を20年3月に発売する。 「気持ち良く楽器を演奏する」「気持ち良く音楽を鑑賞する」-そのためにはどうすれば良いのか。この純粋な問いに対し、ヤマハはこれまで様々な角度からアプローチしてきた。1969年に開始した音響コンサルタントの活動を通じて、演奏者と聴衆と空間のあるべき関係性を追求すべく、「建築音響」「電気音響」「騒音制御」といった音響全般に関わる技術と知見を深めてきた。その中で生まれたのが「AFC」というソリューションになる。 AFCは、空間が建築物として持っている固有の音響特性を生かしつつ、室内の響きを豊かにするソリューション。音源自体にリバーブを付加して音の印象を変化させる手法とは異なり、空間自体の音の広がりをコントロールすることで、楽器や声の自然な聞こえ方を保ちながら、残響時間・音量感を変化させることができる。 また、AFCは一つの空間を多目的に使用したいというユーザーの要望に応えるため、約30年前に音響設計ツールとして開発され、現在に至るまで様々な改良が加えられてきた。最新モデルの「AFC4」では、96キロヘルツに対応したプロセッシング能力と多彩な調整機能を備え、これまで以上に質の高いイマーシブな空間演出を実現する。 多目的なイベントスペースや集会場・宴会場など、もともと響きの成分が少ない空間では、講演会やスピーチなどの用途において明瞭度の高い拡声を実現できる。しかし、同じ空間でクラシックの演奏会を行うと、音の広がりが少ないため、演奏者自身は気持ち良く演奏ができず、聴衆にとっても気持ち良く鑑賞することは難しい。 「AFC4」は、従来モデルから処理能力が大幅に向上し、極端に響きの少ない空間であっても、その空間が持つ音響特性を利用しつつ、用途に応じた残響時間を適切に付加できる。例えば響きの少ない室内でのクラシックコンサートを、自然かつ豊かに響かせることができるほか、催し物が演劇に変われば、それに応じた残響時間に変更できるなど、用途に適した響きを提供する。