2022.06.08 【ITサポートサービス特集】NECフィールディングマルチメンテを中心、医療機器の対応拠点増やす

山崎 常務

 NECフィールディングは、メーカーや機器を問わず保守サポートするマルチメンテナンスを中心に〝メンテナンスサービス企業ナンバー1を目指す〟を掲げ、サービスの高度化に取り組む。2022年度は社内デジタルトランスフォーメーション(DX)をさらに進め「オペレーショナル・エクセレンス(現場業務を改善し競争優位性が高い状態)」の実現を加速させる。

 従来型のIT機器の保守が減少傾向にある中、この数年は全国約360拠点、約3200人のエンジニアによる24時間365日体制の保守網を強みにマルチメンテナンスを強化し、IT以外の設備や機器の保守も進めている。この1年で新規案件も増え、計約100社と契約している。

 特に注力する医療機器は対応できる拠点がこの1年で10カ所増え、全国25カ所体制になった。今年度中に29拠点まで増やす予定だ。全国の保守体制が評価され、新たに検査装置の保守も受注した。検査装置は機器の検品や展開など総合的な支援をしていく。

 マルチメンテナンスでは「設備保守 with IT」を掲げ、小売店舗のIT機器だけでなく設備機器の保守も強化。冷蔵機器の保守対応を目指してきたフロン関連機器の資格取得も現在約120人になった。山崎正吏執行役員常務は「今年度中には200人規模にする」と話し、全国規模で展開できる強みを生かし提案を加速させる考えだ。

 社内DXも進んできた。人工知能(AI)を活用した故障診断や問い合わせ対応をはじめ、カスタマーエンジニア(CE)の自動ディスパッチ(派遣)も進める。現在は障害時の緊急対応の高度化に取り組む。東京や大阪など都市圏での部品配送に、NECと連携して量子コンピューターの一種の量子アニーリング技術を使った部品配送の実証を始めた。山崎常務は「ベテラン社員と同等以上の成果も出てきているため、今後さらに検証を進めていく」という。常に数万点規模の部品が動くため、物流コストの削減や効率化にもつなげていく。

 スマートグラスを使った保守も定着してきた。全国に約1600台の端末を配備して保守対応し、17人体制のスマートグラスサポートセンターで後方支援している。現在はスマートグラスだけでなく、スマートフォンやタブレットなどを含めたCEの保守支援も検討する。オンラインマニュアルを使った遠隔支援や作業進捗(しんちょく)支援などの仕組みも開発中だ。

 倉庫のDXでは「川崎テクニカルセンター」をはじめ、全国200カ所の倉庫に約1600台のカメラを設置。作業員の安全監視に加え作業分析にも取り組む。昨年からは個別に導入してきたDXの仕組みを横断的に連携できるようにした。今後は一件の保守を一貫して確認し管理できるようにしていく。

 下期には全部品在庫にRFIDタグをつけ、トレーサビリティー(追跡)をできるようにする。約130万点の部品全てにタグを付け、棚卸しからリアルタイムで管理できるようにする計画。「医療機器など預かり部品もあるため、セキュリティーや安心安全の観点から進める」(山崎常務)構えだ。

 同社はこのほど「デジタル環境から人の暮らしまで」を掲げた。マルチメンテナンス保守を軸に「身近な生活までトータルでサポートしていく」(山崎常務)としている。