2022.06.15 【JPCA Show/JISSO PROTEC特集】 電子回路基板の動向自動車や5Gなど需要押し上げ

 電子回路基板(プリント配線板、モジュール基板)は、自動車、情報通信端末、産業機器などの成長分野を中心に、技術の高度化と生産規模拡大が進展している。

 特に近年は、CASEをメガトレンドとした自動車の高機能化、第5世代移動通信規格5Gの本格化、IoT市場の広がりなどが電子回路基板の需要を押し上げている。電子回路基板メーカーは、今後も次世代ニーズに照準を合わせた技術開発と投資戦略により、事業拡大を推進する。

 日本電子回路工業会(JPCA)の生産見通しによると、2021年の日系企業の電子回路基板総生産額(国内生産+海外生産)は、前年比13.4%増の1兆4881億円と大幅に伸長した。新型コロナウイルス感染拡大からの経済回復により、4年ぶりに生産が反転し、大幅増となった。

 21年は、国内生産が前年比17.9%増の7659億円、海外生産が同9.1%増の7221億円と、それぞれ堅調な伸びを示した。21年の国内電子回路基板の品種別では、全体的な回復傾向の中で、リジッド系モジュール基板、多層のプリント配線板が高い伸びとなっている。

22年生産額計画 7%増で成長継続

 22年の日系企業の電子回路基板総生産額計画も、前年比6.9%増の1兆5903億円と成長が継続する見通し。内訳は、国内生産が同7.0%増の8199億円、海外生産が同6.7%増の7704億円が見込まれている。

 日系企業の電子回路基板総生産額の将来予測では、国内生産、海外生産ともにプラス成長が続くとされ、24年には1兆8665億円に達する見通しとなっている。

 また、国内電子回路基板の22年計画、2年後、3年後の予測では、ビルドアップの高多層プリント配線板およびリジット系モジュール基板が2桁以上の高い伸びを示している。これらは主に通信インフラ、コンピューターおよび情報端末、医療機器などがけん引する見込み。

 電子回路基板メーカー各社は、旺盛な需要に対応するため、生産能力増強の投資戦略を強化しており、国内外での新工場建設や新工場等増設などの動きを活発化させている。特に、25年ごろからのBEV市場の本格化に照準を合わせた設備投資増額の動きが進展している。

 電子回路基板の技術開発では、自動車向けはxEV化の進展により、インバーター、DC-DCコンバーター、オンボードチャージャー(OBC)、バッテリーマネジメントシステム(BMS)などの高放熱、大電流を要する基板需要が拡大しており、メタル基板、厚銅基板、銅インレイ基板、スルーホール厚付け銅めっきなどの技術が要求に応じて使用されている。

 スマートフォン、モジュール、半導体パッケージ用のプリント配線板は、高密度技術が一段と進んでいる。スマホ向けのエニーレイヤー基板は、L(ライン)/S(スペース)が50マイクロメートル/50マイクロメートル以下の微細化技術を適用したものへと高度化している。さらに、30マイクロメートル/30マイクロメートル以下の微細パターン化が可能なモディファイド・セミ・アディディブ・プロセス(MSAP)工法の導入も進んでいる。

 モジュール基板では、多層板の内層にICや抵抗器、コンデンサーなどの部品を埋め込み、基板表面にも部品を実装することで、基板面積を小型化できる部品内蔵基板技術も注目を集めている。