2022.06.17 【テレビ特集】買い替え時期を迎え需要喚起

大画面4Kテレビの提案が進む

大画面4Kテレビの提案が進む大画面4Kテレビの提案が進む

 主要テレビメーカー各社は、夏商戦に向け高精細4Kテレビを軸に新製品を順次発売する。各社とも有機ELテレビ、液晶テレビともに画質音質に磨きをかけ、有機ELテレビは42V型を新たに加えるところも目立つ。2010年前後に購入したテレビの買い替え時期に入っていることから、各社は新製品の投入で需要を喚起する。

 国内のテレビ市場は、20年から21年にかけコロナ禍の〝巣ごもり〟需要に後押しされ、4Kテレビを中心に買い替えが進んだ。11年のアナログ放送停波に合わせて購入したテレビの買い替えサイクルに入り、メーカーや販売店では大画面高画質を前面に提案をしてきたが、直近では需要に一服感が出ている。

 電子情報技術産業協会(JEITA)の22年4月の薄型テレビの製品出荷をみると、前年同月比13.6%減の37万3000台と10カ月連続のマイナスだった。30~39型が同6.2%増と2カ月連続でプラスだったが、市場をけん引してきた高精細4Kテレビは有機ELテレビも含め前年割れ。4Kテレビの出荷金額は239億円で、全体の79.0%だ。

 テレビ各社は、ボーナス商戦を目前に控え、テレビの新製品を相次いで発表、順次市場投入を始めている。今年も各社は画質に一層磨きをかけている。有機ELテレビは、パネルの開発から独自に進めるところが増え、各社が培ってきた映像処理技術と組み合わせ、より自然に近い映像再現に力が入る。

 パナソニックは、独自設計で組み立ても自社で行う高輝度有機ELパネルと、新開発のパネル制御を組み合わせ、より明るく鮮やかな色再現ができるようになった。ソニーは、人間の脳のように処理をする認知特性プロセッサーと、新開発の有機ELパネルで明るく自然な映像再現に磨きをかけた。42V型有機ELも投入する。

 シャープは、4K有機ELと4K液晶の全機種に新開発の人工知能(AI)プロセッサーを採用した画像処理エンジンを搭載。有機ELは42Vも用意した。番組ごとに最適化した高画質映像が楽しめる。TVS REGZAは、有機ELで独自の新世代パネルを、液晶でレグザ初となるミニLED広色域量子ドットパネルを採用し、いずれも開発に3年を要した新高画質映像処理エンジンで最高画質を実現したという。

 LGエレクトロニクス・ジャパンは、有機ELで42V型から83V型まで幅広い画面をそろえ、最上位機は新パネルとAI対応の最新映像処理エンジンでLG史上最高画質を実現したとしている。

パナソニックの主力製品

多彩な4K有機EL、4K液晶テレビ

画質・音質性能など究める

 パナソニックは、高精細4K有機ELテレビ「4K有機ELビエラ」2022年モデル2シリーズ6機種を17日から順次発売するほか、高精細4K液晶テレビ22年モデル「4K液晶ビエラ」2シリーズ5機種を5月から発売するなど、4K有機EL、4K液晶の幅広い製品群で多様化する需要に応える。

パナソニック「4K有機ELビエラ」LZ2000・77V型(左)と「4K液晶ビエラ」LX950・75V型

 ■「4K有機ELビエラ」

 有機EL22年モデルは最上位機「LZ2000」(77V、65V、55V型)と、上位機「LZ1800」(65V、55V、48V型)の2シリーズで展開。

 両シリーズとも、独自設計の有機ELディスプレーに新開発のパネル制御技術を組み合わせ、高コントラスト化するとともに色再現性も高めた。

 最上位機のLZ2000は、独自設計で組み立ても自社で行う高輝度有機ELパネルと、新開発のパネル制御を組み合わせ、より明るく鮮やかな色再現ができる。

 光と色を分離したパネル制御をさらに究め、暗部解析精度を従来比約32倍に高め、暗い映像での階調表現力も飛躍的に向上した。

 音質面では高級オーディオブランド「テクニクス」で培った音作りのノウハウを組み入れ、包み込むような立体音響を強化した。

 放送や映画など100万以上のシーンを集めたデータベースを駆使し、人間の脳のように何を見ているか認識できる「オートAI画質・音質」により、映像に応じて画質を最適化するとともに音場も自動で調整する。照度センサーと色温度センサーで、部屋の明るさや色に合わせて自然な画質に調整できる。

 ■「4K液晶ビエラ」

 4K液晶ビエラは、大画面の「LX950」(75V、65V、55V型)と、中型画面の「LX900」(49V、43V型)の2シリーズ5機種をラインアップ。両シリーズには人工知能(AI)を使った画質調整機能「オートAI画質」を搭載する。

 最上位のLX950は、独自構造で高コントラストと高いデザイン性を両立したプレミアム液晶ディスプレーを採用するとともに、360度の立体音響システムも搭載。

 天井方向にも音を出すイネーブルドスピーカーをテレビ上部に搭載した360度の立体音響システムを採用。映像シーンに応じてAIが音質を自動で最適化する「オートAI音質」も搭載した。

 LX900は、立体音響技術「ドルビーアトモス」に対応し、テレビ本体のスピーカーだけで立体音響を楽しむことができる。