2022.08.25 【化学材料特集】中興化成工業貼り付け可能で赤外線変換な「輻射放熱シート」開発中

輻射放熱シート

 中興化成工業は、フッ素樹脂(PTFE)などの高機能樹脂の総合加工メーカー。同社は、エレクトロニクス用途向けに、高速・大容量通信に適した低伝送損失のフッ素樹脂製品の提案を強化している。

 同社は初の放熱部材として、貼り付け可能な赤外線変換による熱拡散シート「輻射放熱シート」を開発中。熱伝導率の高いアルミフィルムに輻射(ふくしゃ)率の高い放熱塗料をコーティングしたものをテープ加工しており、熱を電磁波(遠赤外線)エネルギーへ変換させる輻射放熱により熱拡散を行う。

 同放熱シートは、フッ素系の放熱塗料により耐熱性を有する。放熱塗料により、アルミ単体よりも約10%の冷却効果が期待できる。発熱体へ直接貼り合わせることで輻射放熱による熱拡散効果を付与できる。総厚約110マイクロメートルと薄いため、スペースの限られる場所や軽量化が必要な箇所への使用が可能。最高使用温度は150度。基材であるアルミフィルム自体が電磁波を遮断するため、実測したところ、50デシベルほどをシールドする効果が得られた。これにより、「放熱&電磁波シールド効果のあるシート」として利用できる。

 用途は、発熱部品(ICチップ、ダイオード)や筐体の放熱用途。既にサンプル供給中で、松浦工場(長崎県松浦市)にて製造準備中。今年度中の販売開始を目指す。500ミリメートル幅リール品での製造を検討中で、それ以上の長尺品も顧客ニーズに合わせて検討する。

 フッ素樹脂基板「チューコーフロー銅張積層板」は、市場で求められる誘電率、誘電正接に合わせた豊富なラインアップがそろう。

 高周波対応フッ素樹脂製フレキシブル基板「チューコーフロー銅張積層板 xCCF-500」は、誘電特性に優れたフッ素樹脂を用いた基板で、ミリ波帯での伝送損失が小さい製品。超低粗度箔(はく)を用いて両面銅張している。柔軟性に優れ、引き剥がし強度は1.4kN/m、線膨張係数を低く抑えた。5G通信端末用アンテナ用途などに提案する。

 同社は1963年に設立され、長年フッ素樹脂加工での課題解決に取り組んできた。高度な加工技術を強みに一品一様で要望に合わせた加工を行う。