2022.09.09 PARKSキックオフシンポジウム、大学発スタートアップ創出へ

九州・沖縄の15大学とFVPなどが連携

 【福岡】九州・沖縄の15大学とFFGベンチャービジネスパートナーズ(FVP、福岡市中央区)は、九州・沖縄が一体となってアジアとつながる大学発スタートアップ創出を目指すプラットフォーム「PARKS」を設立。このほど九州工業大学戸畑キャンパス(北九州市戸畑区)のGYMLABOでキックオフシンポジウムを開いた。大学発スタートアップ事例の講演や登壇者によるパネルディスカッションも行い、会場とオンラインで約220人が参加した。

 きっかけは2020年7月に福岡市と北九州市が内閣府のスタートアップ・エコシステム推進拠点都市に選定されたこと。21年度には九州大学、九工大を中心に科学技術振興機構(JST)の支援を受け、大学発スタートアップ拠点環境づくりに取り組んできた。

 次の段階として2拠点の連携を強化し、エリアを九州・沖縄へ拡大。域内15大学とFFGが連携することで、JSTの大学発新産業創出プログラム(START)に採択された。今後は2拠点をモデル都市に「九州・大学発ベンチャー振興会議」とも密に連携し、アントレプレナーシップ教育から企業支援での人材育成まで一気通貫で支援。26年度末までに全15大学でアントレ教育を行い、年間受講者1万2000人を目指す。

 主幹機関の一つ、九工大の三谷康範学長は「インターユニバーシティ型で各産学機関が持つ強みを掛け算し、これによって全く新しい発想から生まれるイノベーション創出に向けて活動していく」と語った。

安達 教授

 基調講演では、九大最先端有機光エレクトロニクス研究センター長の安達千波矢教授が「Zero to Oneのイノベーションから大学発スタートアップへ-革新的なOLED発光分子の創製と事業化‐」のテーマで登壇。安達教授は「大学の研究は誰もができないと思っている研究に挑戦して、ほぼ0に近いものを1にしていくところに価値があるのでは」と前置きし、新材料開発の経緯と、15年に設立したKyulux(福岡市西区)について解説した。

 強いベンチャーを作るには知財と人材の集積が重要と指摘。「いかに強い知財ポートフォリオを作るかに尽きるが、特許には多くの費用がかかるのが大きな問題。また、大学を卒業しても人材が地域にとどまる仕組みを作らないと、外へ流出してしまう」と述べた。