村田製作所の子会社で、ハプティクス（触覚）のソリューション技術を提供するミライセンスが、事業を積極的に展開している。視覚（映像）、音声（聴覚）といった感覚のデジタル化が進む中で、触覚関連などの取り組みは難しく、「VRの世界のラストワンマイル」とも言われてきた。「触覚のデジタル化で、コンテンツとコミュニケーションに革命を」と展望する。

　ミライセンスのもとは、産業技術総合研究所の中村則雄博士によって世界で初めて発明された技術。皮膚の刺激を通じ、「脳内錯覚」を生じさせる。引っ張られたり押されたりしているような「力覚」、接触や堅さ・柔らかさを感じる「圧覚」、何らかの材の表面を触っているような心地のする「触覚」の3種類が実現できる。光の3原色になぞらえ、「3原触」とも称している。これを組み合わせ、リアルな感触を実現する「3D触力覚技術」を掲げる。

　ミライセンスは先にあった「東京ゲームショウ2022」にも出展し、ゲーム開発事業者向けに、デモのゲームなどを通じて技術をアピールした。コンバットゲーム、シューティングなどに同社の技術を生かせば、例えば何かを撃ったときの反動や、自動車などの前進・後退といった「体感」ができる。実際にデバイスを触ってみると、壁を「触って」いるとき、その素材のゴツゴツ感による「手触り」の違いなども「実感」できる。

　遠隔医療、手術ロボット関連なども想定される。同社は今後、さらに技術を磨くとともに、村田製作所とのシナジーにも努めていく予定だ。

（29日付電波新聞／電波新聞デジタルで詳報します）