2022.10.12 【日本ロボット工業会創立50周年特集】国際ロボット連盟 マリーナ・ビル会長、初の女性会長として注目 2大見本市で協働ロボがアプリ範囲拡大 ビジネスエコシステム進化へ
ビル会長
IFR(国際ロボット連盟)は6月にマリーナ・ビル会長(ABB)と山口健司副会長(ファナック社長兼CEO、日本ロボット工業会会長)を選任した。マリーナ・ビル会長は、IFR初の女性会長として注目されている。
ビル会長は約1万1000人の従業員を擁するABBのロボティクス事業のグローバルマーケティング&セールスを率いており、53カ国の100以上の拠点で事業を展開している。ABBのオートメーション全体の管理および販売およびマーケティングの役割の多くで25年以上の経験を持ち、ストックホルムの王立工科大学で生産工学と経営学の修士号を取得している。
6月にミュンヘンでの就任会見で「私は会長としてIFRを率い、私たちの業界に奉仕することを光栄に思い、IFRのメンバーの信頼と支援に感謝する。グローバルビジネスで経験している前例のないペースの変化は、次世代の業界を形作る歴史的な機会を提供する」と語った。また、9月に発行された季刊ニュースレターで次のように述べた。
▽ロボティクスとオートメーションは、あらゆる規模の企業に柔軟で持続可能で効率的なソリューションを生み出し、コストを最小限に抑え、レジリエンスを促進し、社会に利益をもたらす。
今年6月には、ロボティクスとオートメーションの世界で最も重要な見本市の二つ、デトロイトでのオートメーションショーとミュンヘンでのオートマティカフェアが開催された。見本市では人間とロボットのコラボレーション用に設計されたロボットの適用範囲は一段と拡大しており、今年は特に、より高いペイロードとより長いリーチを備えた新しいコボット(協働ロボット)がアプリケーションの範囲を切り開いたと思われる。多かれ少なかれ共有ワークスペースを含む作業モジュールに加えて、コボットは、従来の産業用ロボットタスク、特に溶接アプリケーションの代わりにますます使用され、使いやすくなっている。システムの統合の容易さやプラグアンドプレーも高い需要がある。
ロボットオートメーションへの参入障壁を下げ、ユーザーが求めている標準アプリケーション向けのより完全なソリューションも見本市で紹介された。これに沿って、私たちは新しいビジネスエコシステムが進化するとみる。
▽顧客は、ロボット自体だけでなく、グリッパーやオンラインアプリケーションビルダーなどの互換性のあるプラグアンドプレーアクセサリーも提供する「ワンストップショップ」を求めている。プログラミングの容易さとユーザビリティーへの市場の関心は、特に多品種少量生産の顧客の間で高まっている。産業用ロボットメーカーは、多くの場合GUIベースのシンプルなプログラミングツールや、事前にカスタマイズされたビルディングブロックを提供し、通常はタブレットをインターフェースとして使用できる。
▽AMR(自律移動ロボット)は、産業用ロボットとともに製造プロセスにシームレスに統合され、新しい生産レイアウトを可能にする。ロボットアームをAMRに直接統合して「モバイルマニピュレーター」を実現することは、多くのメーカーが紹介している。
高度なビジョンシステムと人工知能は、特にピッキング&グリップの分野や品質検査の分野でも、新しい可能性を切り開いている。
ロボットシステムのデジタル化とコネクティビティー化は大きく進歩している。デジタルツインは、リモート監視とフリート管理、予知保全とプロセスの最適化を可能にし、新しいビジネスモデルを可能にする。
▽エネルギー価格が高騰し、企業の社会的責任に焦点を当てる時代にあって、ロボットが果たす役割は大きい。