2022.10.21 【あかりの日特集】LED用部品・材料の動向 次世代照明向けが拡大 高付加価値製品の開発に力

微発光用途向け1608サイズLED

 電子部品・素材メーカーは、次世代照明として市場が拡大しているLED関連の部品・材料開発に力を注いでいる。各社は、LED照明の高機能・高性能化や高効率化、長寿命化などに向けた技術開発を推進。色のバラつきを抑え、発光効率をより向上させたLEDパッケージなど、付加価値の高い製品開発を推進する。

 LED照明の性能向上にはデバイス技術の高度化が不可欠。電子部品各社は、次世代LED照明での技術要求に対応し、LEDパッケージの小型・高性能化・高出力化追求や、高輝度LED向けの耐熱部品開発、LEDの長寿命化、ノイズ対策強化などの技術開発を活発化させている。

 一方、産業機器などで隣接する発光部との干渉などを考慮する必要がある用途では、適切な発光光度や発光波長に調整する設計が必要となるため、低電流域での特性に合わせ込んだLEDが求められている。こうしたニーズに対応し、低電流駆動での微発光に最適化した汎用(はんよう)性の高い超小型LEDパッケージなどが開発されている。一般的な20mA仕様のLEDを低電流で発光させると、製品ごとに明るさのバラつきや色味の変化が起こるが、微発光用途向けに最適化した専用素子を搭載したLEDの開発で、インジケーターなどの視認性向上が提案されている。

 LED用材料は、LED照明の高機能・高性能化や軽量化、コスト削減などに向けた技術開発に力が注がれる。ランプソケット材は、アルミやセラミックからの置き換えを目指した樹脂材料開発が活発。高熱伝導性で放熱性に優れた樹脂開発により、安全性向上や高い成形性、軽量化、コスト低減などが提案されている。LEDチップを保護する封止材は、高い耐熱性や耐光性を有し、周辺部材の腐食を防ぐためのガス透過性低減を図った材料開発が進んでいる。

 一般的にLED照明は、複数の青色LED素子と蛍光体を組み合わせて製造されるため、材料のバラつきにより、同じ色温度でも青っぽい、黄色っぽいなど色のバラつきが生じる。このバラつきにより、一つの空間に多数の照明を配置した際、色の違いが出てしまう。これらに対し、部材の選定や製造の条件の厳格化などにより、従来比で大幅に色のバラつきを抑えることができる高付加価値LEDパッケージの開発などが進んでいる。

 さらに、素子などの適用部材の見直しや改良を行い、光の取り出し効率と放熱性を高めることなどにより、さらなる発光効率改善を図った照明用COB(チップ・オン・ボード)パッケージなども開発されている。発光効率の大幅な向上を図ることで、より少ない電力で明るく光らせることができるため、照明器具の省エネ化やコストダウンへの寄与が期待されている。

 同時に、照明用LEDに要求される、長期間使用しても明るさを維持できる長期信頼性、耐ガス特性の改善も追求されている。これにより、省エネ化に加え、LED光源や照明器具の交換や修繕間隔を長く取れるようになるため、環境負荷低減が期待されている。

 商業施設用のプロフェッショナル照明用のCOBパッケージでは、緻密な配光制御や、器具のデザイン性向上ニーズなどに対応するため、点光源を追求した「狭LES(発光径)」によるデザイン性向上提案なども進められている。

 LED照明では、工程の簡略化や品質のバラつきを解消するため、手はんだによるケーブル接続からコネクター接続への切り替えニーズがあり、小型で圧着作業不要なLED照明給電用基板対電線用コネクターや、低背化を追求したLEDモジュール基板接続用コネクターなどが開発されている。