2022.11.10 量子技術の実用化推進へ、産学官の議論始動 来年3月に計画案

富士通が理化学研究所と共同で開発中の量子コンピューター=埼玉県和光市の理研RQC-富士通連携センター

 政府は、量子特有の性質や振る舞いを情報処理や通信などに生かす「量子技術」の実用化を促すための実行計画づくりに乗り出す。産業界の有識者も巻き込んだ専門の作業部会で検討を重ね、2023年3月までに計画案をまとめる予定。経済や社会に変革をもたらす可能性を秘める量子技術をめぐる国家間の覇権争いの激化に備えたい考えだ。
     
 今回の作業部会は、内閣府の有識者会議「量子技術イノベーション会議」の下に設けられた「量子技術の実用化推進ワーキンググループ(WG)」。その初会合を10日に開いた。

 強力な計算能力を備える次世代計算機「量子コンピューター」の技術開発や事業化を加速するための方策を探るほか、関連するソフトウエア産業の振興策についても探索。産学官の連携体制を強化するなど、共通の課題にまで踏み込む。

 WGは、主査を伊藤公平慶應義塾長が務め、業界横断で量子技術の産業化を促進する「量子技術による新産業創出協議会」や理化学研究所の担当者ら約10人で構成。産業界からは、富士通や日立製作所、NEC、NTTなどの関係者も参加した。量子コンピューターを利用する産業の発掘と拡大に向けた議論を深めるため、金融や創薬、医療など幅広い分野のユーザー企業も招聘する予定だ。

 (11日付け、電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)