2023.01.19 【LED照明特集】岩崎電気 伊藤義剛代表取締役社長
伊藤 社長
積極的に新しい事業の「軸」創る
昨年は部材不足が影響して製品を納期通りに届けるのが厳しいこともあった。資材価格の高騰などは一時期より緩和しつつあるが、為替の影響など外的要因での厳しさは残っている。
北米市場からは事実上撤退することを決めた。北米では工場を持ち、生産を含めてHIDランプを展開してきた。以前はLED照明もやっていたが採算が悪く、赤字となってしまっていた。それをHIDランプに集中することで、利益を出せる経営体質に改善していたが、新型コロナ下で需要が急激に落ち、この一年程度は赤字が続いていた。
今年も市場環境は厳しいだろう。景気がいいとは言い切れないため、企業の投資意欲も薄れがちだと思う。ただ、国内の照明市場自体はコロナ禍で落ち込んだ分、復調傾向の継続が期待できる。
半面、こうした環境下では、照明ばかりに頼るのではなく、培ってきたノウハウを生かしつつ、新しいチャレンジが必要になってくる。同時に、照明メーカーが持っていない技術を組み合わせてソリューションとして、新しい価値を提案していくこともこれからは求められる。例えば、通信やセンサー技術を持つ企業と連携するなどだ。
そうした技術を持つ企業を内部に取り込むために、M&A(合併・買収)も検討している。スタートアップへの投資も、スモールスタートではあるが行っている。
殺菌事業は現在、コロナ禍で急激に盛り上がった需要が落ち着いてきているが、プラスアルファの事業としてこれからも大事にしていきたいと思っている。UV(紫外線)に製品やソリューションなどをプラスし、他社にない価値を提案できるようさまざまな取り組みを検討している。
主力であったHIDランプはこれからも減る。当社を代表するような製品であったため、これに替わる〝岩崎らしい〟製品を出していきたい。「これが岩崎」と思ってもらえるような製品を出せれば、市場からの評価はもっと変わるはずだ。
新規事業は、これまでとは異なる新しい「軸」を創るためにも積極的に取り組んでいる。当社にとっては50年に一度の変革の時だと思っており、大変な改革になるが、今年も推進していく。