2020.02.04 【コネクタ総合】製品動向 車載電装用 事業拡大の重点市場

Z軸可動フローティングタイプコネクタ

 コネクタメーカー各社は、自動車電装機器市場を中長期の事業拡大のための最重点市場の一つに位置付けている。各社は「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアード&サービス、電動化)」をキーワードとした車の進化に照準を合わせ、高速伝送・高周波技術や高精細画像伝送技術、防水技術、小型・高信頼性技術などを駆使した車載用コネクタ開発を強化している。

 ADAS/自動運転の高度化で重要なカギを握る車載カメラは、車1台当たりの搭載個数増加に加え、製品の高性能化が顕著。最近の車載カメラは、従来の標準だった30万画素タイプ(VGA)から100万画素クラスへの切り替えが進みつつあり、ADAS/自動運転をサポートする高速デジタルセンシング用カメラへの進化が加速している。

 コネクタ各社は、こうした車載カメラの技術進化に照準を合わせた車載カメラモジュール接続用コネクタや、カメラECUインターフェイス用コネクタなどの技術開発を強化しており、高画質の車載デジタルカメラで要求される3ギガbpsなどの高速伝送性能を実現しつつ、小型・高性能で防水性にも優れた製品開発に力が注がれている。

 自動運転車向けセンシングカメラは、将来的には3メガピクセル、10ギガbpsなどへの進化が予想され、これらに向けてPOF(プラスチック光ファイバ)コネクタの製品化も視野に入れられている。

 車両1台当たりの搭載数量が飛躍的に増加していくことが予想されるライダーについても、多数個使用のための小型化追求が要求されており、対応コネクタにも小型化が求められる。ミリ波レーダー用コネクタに関しても次世代に向けて、さらなる小型化と防水性能向上が要望されている。

 車載高速伝送系コネクタでは、車載用HSD(ハイスピードデータ)コネクタやFAKRA(ファクラ)規格準拠コネクタ、USCARコネクタなどの製品開発やラインアップ拡充の取り組みが活発。

 今後、搭載本格化が期待される車載イーサネット用コネクタへの参入メーカーも増加している。車載イーサネット用は、通常のイーサネット用と比較して極めて高い信頼性が要求されるため、高度な技術開発が進められている。

 EV/PHV用では、車載インバータや車載モーター、バッテリ周りに使用される大電流/高耐圧対応製品の開発が活発。定格電圧850V対応品などが開発されている。

 エンジンルーム周辺などでの使用用途向けに、125度/150度対応などの高耐熱FPCコネクタ開発も活発になっている。

 EVやPHVの本格普及では、1充電当たりの走行距離向上が重要な鍵を握る。このため、EV用部品には従来のガソリン車以上に搭載部品への軽量化ニーズが強く、コネクタ各社は既存の車両用コネクタの軽量化追求にも力を注いでおり、小型・軽量タイプの車載ECU用コネクタなどの開発が進展している。

【コネクタ総合】目次

●製品動向 車載電装用 事業拡大の重点市場
●製品動向 携帯端末用 小型・高性能タイプに注力
●製品動向 産業機器/インフラ用 製品ラインアップ拡充
●製品動向 コネクタ用樹脂材料 スーパーエンプラ、技術開発が進展