2020.02.04 【コネクタ総合】製品動向 コネクタ用樹脂材料 スーパーエンプラ、技術開発が進展

コネクタ用のスーパーエンプラ各種

 コネクタなどの電子部品の成形材料として、スーパーエンプラ(エンジニアリングプラスチック)の技術開発が進展している。工業用樹脂メーカー各社は、機器の小型・高密度化や高機能化、環境保全ニーズなどに対応した新製品や新グレード品開発への取り組みを強化している。特に最近は、5Gで求められる低誘電率や低誘電正接などの特性に照準を合わせた新材料や新グレード品開発が活発化している。

 コネクタやICソケットなどの電子部品に使用される工業用熱可塑性エンジニアリングプラスチックには、LCP(液晶ポリマー)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリアミド(PA46、PA6T、PA9Tなど)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂などがある。

 機器の小型・高密度実装化に伴うコネクタの狭ピッチ・低背化や形状の複雑化、鉛フリーはんだ使用に伴うリフロー温度上昇などにより、成形材料への技術要求は厳しさを増している。工業用プラスチックメーカー各社は、耐熱性や耐摩耗性、薄肉成形に適した高流動性、剛性、しゅう動特性、難燃性、寸法安定性、引っ張り強度、低吸水性、耐トラッキング性などの特性をバランス良く引き出しつつ、コスト低減が図れる製品開発に力を注いでいる。

 特に最近は、今後の市場本格化が見込まれる5Gアプリケーション向けに、低誘電率と低誘電正接および低給水性を兼ね備えた高周波材料の開発が活発化しており、次世代の業界標準を目指した開発競争が進展している。

 モバイル機器などに搭載される軽薄短小コネクタは基板に表面実装されるケースが多いため、はんだリフロー時の高温負荷に対しても溶融や変形がなく、低そり化を確保できる高耐熱の成形材料が求められる。特に、高耐熱性と優れた薄肉流動性を有するスーパーエンプラであるLCPは、スマホ用コネクタ向けに加え、車載コネクタ用途での需要が大きく増加している。

 5G機器向けLPCの開発では、LPCの誘電率を小さくしたうえで、コネクタ部品に適用可能な低そり性、流動性を付与した新グレード品などが開発・市場投入されている。

 PPS樹脂は、耐熱性や寸法安定性、耐クリープ性、耐薬品性などに優れた特性を持っている、特に高温環境下での安定性などの特性から、最近はハイブリッド車(HEV)等での金属代替といった用途での需要が増加している。

 耐熱性ポリアミド樹脂も、優れた耐熱性に加え、ウエルド強度や低給水性、耐腐食性、耐トラッキング性などの特性から電子機器コネクタおよび車載電装機器用コネクタなどの用途での需要拡大が堅調に増加している。エレクトロニクス市場でのノンハロゲン要求の高まりから、リン系難燃剤を使用した耐熱ポリアミド樹脂の開発なども進んでいる。

 PBT樹脂も、エアコンや冷蔵庫のコンプレッサ用途などに加え、自動車ワイヤハーネスやECU周りなどの用途での採用が広がっている。

【コネクタ総合】目次

●製品動向 車載電装用 事業拡大の重点市場
●製品動向 携帯端末用 小型・高性能タイプに注力
●製品動向 産業機器/インフラ用 製品ラインアップ拡充
●製品動向 コネクタ用樹脂材料 スーパーエンプラ、技術開発が進展