2023.07.11 【家電総合特集】洗濯機

洗濯機の中では近年、ドラム式洗濯乾燥機が注目されている

ドラム式の需要拡大

洗濯から乾燥まで省エネ・節水をアピール

 洗濯機は買い替え需要を中心に、毎年安定した需要がある。特別給付金などで好調だった2020年度の反動により、洗濯機全体では、日本電機工業会(JEMA)出荷統計ベースで21年度は前年割れ(前年度比6.1%減)となる445万台だった。22年度も同6%減の429万台となった。

 22年度は上期に上海ロックダウンの影響を受けた。下期は回復基調で推移したものの、通期で挽回することができなかった。JEMAの23年度の通期見通しでも420万台程度と予想している。

 洗濯機の中で近年需要が伸びているのが、ドラム式洗濯乾燥機だ。洗濯から乾燥まで一気に仕上げられることから省家事につながる点が注目されるようになった。

 洗濯機の中で洗濯乾燥機の構成比は約3割まで拡大し、年間では120万台以上の需要がある。

 洗濯乾燥機には縦型洗濯乾燥機もあるが、乾燥性能に優れて衣類の仕上がりが良く、節水性も高いドラム式が注目されている。

 ドラム式洗濯乾燥機の場合、乾燥の省エネに効果があるヒートポンプ乾燥方式を取り入れた機種もある。

 近年、物価や電気代の高騰を背景に、節約意識が強まっており、省エネ・節水につながる特長はユーザーに対しての訴求ポイントとなる。このところクリーニングを節約するユーザーも増え、ドラム洗の提案には追い風が吹く。

 ドラム式洗濯乾燥機が普及し始めたのは00年代初頭のこと。近年は共働き世帯の増加で家事負担軽減ニーズが強まったほか、コロナ禍で在宅時間が増加したことなどのライフスタイルの変化で関心が高まった。

 コロナ前の19年度には既に、洗濯乾燥機全体に占めるドラム式洗濯乾燥機の構成比は6割弱まで高まっていたが、コロナ禍に見舞われた20年度には64%に、22年度には75%を超え、23年度は80%まで高まる(シャープ推定)との見方もある。

 10~12キログラム洗い(乾燥5~6キログラム)の大容量タイプはもちろんのこと、コンパクトな7キログラム洗い(乾燥3.5キログラム)といったマンション向けの商品戦略も進むなど、ドラム式普及の裾野拡大に向けた商品戦略も活発となっている。

 一方で縦型洗濯乾燥機や全自動洗濯機も一定の需要はあり、液体洗剤・柔軟剤自動投入機能の採用やIoT機能の搭載など、商品戦略も進化。

 さらに乾燥フィルターの自動清掃や、洗濯槽の黒カビ対策、イオン搭載による衣類の除菌・消臭、静音性、デザイン等々、総合的な商品力の強化で買い替え需要の掘り起こしに力を入れている。