2023.07.27 【半導体/エレクトロニクス商社特集】グローセル 高感度半導体ひずみセンサーに力 新規商材の拡充も推進

上野 社長

 グローセルは上野武史社長が就任して1年が経過した。上野社長は「自由闊達(かったつ)、元気で明るい企業風土をつくろうと社員には折に触れて伝えてきた。意識は少しずつ浸透している」とこの間を振り返る。

 1月に高感度半導体ひずみセンサー「STREAL(ストリアル)」の応用技術の研究開発費として公募増資を実施。市場から13億円の資金を調達した。「投資家へのストリアルの認知度向上」が狙いの一つだが、上野社長は「財務体質もより強固になった」と話す。

 協働ロボット向けにストリアルを搭載したトルクセンサーの量産を今秋に開始予定。ストリアルは電動アシスト自転車での用途が主だったが、切削加工ツールや半導体製造装置などアプリケーションをさらに広げていく。

 足元の市況は自動車関係が需給逼迫(ひっぱく)のピークを昨年夏に迎えた後、回復傾向だ。一方、半導体製造装置など産業向けを含む自動車以外の分野は全体的に弱含みで「調整局面」とする。

 自動車向けを主としたルネサス製品はソリューション提案「Winning Combination」を引き続き推進。電源効率の改善につながる「電源管理IC」や異常な温度を感知して電流を遮断し周囲を保護する「サーマルFET」などとマイコンの最適な組み合わせで付加価値を訴求していく。

 H&CSBでは既存商材の拡大とともに、新規商材としてラインカードを拡充。既存商材の2026年度売り上げは、全Tier1に浸透したストレージが23年度対比で2.75倍、ASICが2.4倍まで伸長を目指す。

 新規商材はGNSSモジュールや4G/5G通信モジュールにSiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)といったパワー半導体を組み合わせたソリューションを提案。上野社長は「ルネサス事業に次ぐ規模に育てたい」と意気込む。

 DX推進に向け、昨年8月に「DX委員会」を立ち上げた。「チャットGPT」などを活用した業務の効率化のみにとどまらず、ビジネスモデルの変革に向けた成長戦略を描きたい考えだ。