東京応化工業は、半導体用フォトレジストや高純度化学薬品の販売で実績を拡大している。2022年度（12月期）は、レガシー半導体需要や、最先端プロセス向けで材料事業が好調に推移し、3期連続で過去最高を更新した。

　今年度は半導体市況悪化の影響を受けているが、種市順昭社長は半導体市場や半導体材料市場の見通しについて、「いずれは回復に向かう。最近は生成AI関連でロジックデバイスだけでなくメモリー需要の回復も見込めると聞いている。先端パッケージ技術も必要なため、需要回復の起爆剤として期待している。現在は、全ての半導体が落ち込んでいるのではなく、レガシー半導体やパワーデバイスは堅調。以前のような極端なシリコンサイクルの谷が訪れることにはならないと思う」と話す。今年度上期も最先端のEUVやArFレジストの売り上げは、ほぼ前年同期比並みを確保した。

　今後の事業戦略では「今後5年間で半導体工場の新設や増設が多数予定されている。これらが動き出せば、半導体業界は非常に多忙な状況が訪れる。これらの需要をしっかり満たしていくことが事業戦略の根幹」（種市社長）とし、「主要分野の①情報端末②クラウド③センシング＆IoT④グリーンエネルギーの4分野でしっかりと成長できる体制を整える」。

　同社は22年度から「tok中期計画2024」（3カ年）をスタート。五つの戦略に①先端レジストのグローバルシェア向上②電子材料および新規分野でのコア技術獲得／創出③高品質製品の安定供給とグループに最適な生産体制の構築④従業員エンゲージメントを向上させ人を活かす経営の推進⑤健全で効率的な経営基盤の整備を掲げ、「ここまで順調に進捗（しんちょく）している。先端レジストのグローバルシェア向上もおおむね計画通り。今後も中期計画をしっかりと推進し、30年に向けたビジョンを達成したい」（種市社長）。

　投資関連では、昨年、郡山工場（福島県郡山市）の新検査棟が稼働し、生産のボトルネックとなる検査能力の増強を実施中。加えて同工場に今年6月に新倉庫も稼働させるなど、郡山工場の生産機能増強も進めている。熊本県菊池市の高純度化学薬品新工場にも着工し、25年上期の稼働を予定する。韓国でも検査棟を増設する計画。さらに新たな工場用地確保も進める。