2020.02.28 【ICT展望2020】Dynabook・覚道清文社長兼CEO

覚道社長

サービス面強化の真価問われる

 ―景況見通しなどに不透明感も出てきていますが、ICTの市場環境をどう見ていますか。

 覚道社長 19年のICTの市場環境は、非常に活況を見せた。JEITA(電子情報技術産業協会)のPCの国内出荷実績でも前年同期比152%で推移している。

 ウインドウズ10へのリプレース特需はあったが、働き方改革などを背景に企業の効率化への意欲も旺盛で、ICT投資も活発だった。オリンピック効果やインバウンド効果などもあり、ICT全体として良かった。

 20年も、景況に不透明感は出ているが、ICT市場は好調を持続すると見ている。PCのハードウエアだけを見ると踊り場に来るが、働き方改革や業務の効率化などの需要は拡大する。これまで大手企業が先行してきたこうした需要が、今後は中小企業、SMBに拡大する。文教市場にも期待できる。

 ―19年度の事業の進捗状況はいかがですか。

 覚道社長 19年度は好調に推移し、売上高も前年比20%前後の伸びになると見ている。当社は企業理念として「コンピューティングとサービスを通じて世界を変える」を掲げているが、ハードとサービスの両面を軸に事業拡大できた。商品面では、BtoB、BtoCとも商材を拡充した。

 デスクトップ「dynaDesk」をラインアップに加えて下期から本格展開し、2万台超の販売を計画している。BTO(受注生産)にも対応する。働き方改革に対応したモバイルワーク製品も好評だ。

 サービス面では、モバイルエッジコンピューティングによるソリューション、「Enterprise Mobility+Security導入支援サービス」を本格展開している。マイクロソフトの総合コミュニケーションプラットフォーム「Teams」の導入支援にも注力した。

 ―20年度に向け、どういう方針で臨まれますか。

 覚道社長 ハードで19年の反動が予想されるが、サービス面強化の真価を問われる年になる。「ダイナブック・アズ・ア・コンピューティング」「ダイナブック・アズ・ア・サービス」によって、コンピューティングとサービスの両輪で取り組む。

 モバイルエッジコンピューティングをさらに強化する。軽量化・薄型化では、HDDからSSDへの移行、今春から始まる5Gサービスに向けての取り組み、8Kなどに力を入れる。8Kはシャープが社運をかけている分野であり、グループとしてのシナジー効果を出していく。

 サービス面では、サブスクリプションモデルの本格的展開、LCM(ライフ・サイクル・マネジメント)などサービスメニューの充実を図る。Teamsと連携した「dyna Teams」の提供を本格展開するほか、クラウドベースの商材を強化していく。

 20年度も2桁の業績の伸びを目指す。

 ―海外市場でのグローバル戦略についてはどうですか。

 覚道社長 海外も商品ラインアップを拡充する。アジア、欧米市場にはコスト力のある普及機の投入も考えている。LCMの海外展開などサービスメニューの強化を図るとともに、シャープの販売チャネルの活用など協業を強化し、プレゼンスを向上させる。現在、20%の海外売上げを30%前後まで上げたい。