2020.03.04 【コンデンサ特集】技術動向 フィルムコンデンサ

産機、車載で広く使用されるフィルムコンデンサ

低ESL化、高耐熱化要求高まる

 フィルムコンデンサは、電源回路において、平滑用、サージ吸収のフィルタ用、スナバ用、ノイズ対策のXおよびYコンデンサ用などとして用いられている。

 誘電体フィルムは、低圧用の一般的な製品ではポリエチレンテレフタレート(PET)を使用している。高電圧、低損失、周波数特性が求められる用途に対しては、ポリプロピレン(PP)を採用する。

 このほか、高耐熱性の用途やチップ化にはポリフェニレンサルファイド(PPS)が用いられている。

 新エネルギー、省エネ家電、さらには環境に配慮した自動車のxEV化が進展している。いずれも高電圧が必要なコンバータやインバータ回路によって、電力を効率的に変換する必要がある。電圧を安定化する平滑コンデンサや半導体デバイス保護に必要なサージ吸収用のスナバコンデンサが使われる。

 この用途には、電極に蒸着金属を用いたメタライズドコンデンサが用いられている。低損失、高耐圧、長寿命、優れた温度特性が評価されているためだ。

 自動車のxEVなどの電動系パワートレイン系の構成中枢であるパワーコントロールユニットのインバータ回路には、フィルムコンデンサが主力に使用されている。

 高電圧、大電流化、広い温度範囲、安全性、自由な形状設計-などが支持されている。引き続き、EV化が進展する中、バッテリ、インバータの電圧安定化、ノイズ、サージ対策などの複数の役割を果たすために複合モジュール製品の搭載が進展する見通しだ。

 インバータ回路などに使用されるスイッチングデバイスは、現在のIGBTから、SiC、GaNなどの次世代パワーデバイスに進化する。そのため、フィルムコンデンサは、低ESR、低ESL化が要求され、しかも高耐熱化に向けた開発が求められる。

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