2020.03.13 【メディカル・ヘルスケア用部品特集】メディカル・ヘルスケア用部品、各社が中長期的に事業拡大

8K内視鏡システム

ウエアラブル型ヘルスケア機器など
新需要の創出期待

 電子部品業界では、医療機器・介護機器・ヘルスケア関連機器市場を中長期の事業拡大のための重点分野に位置付ける企業が増加している。

 医療機器の電子化やICT化は、付加価値の高い電子部品の需要を安定的に成長させることが期待されている。

 ホームヘルス関連では、ウエアラブル型ヘルスケア機器などの需要増に伴う新たな電子部品の創出が期待される。医療/ヘルスケア技術とIT/エレクトロニクス技術の融合が進む中で、電子部品各社は同市場に照準を合わせた営業・マーケティングやR&D活動を一段と強化する。

 電子部品メーカーにとって、機器の高度化・高性能化とグローバルでの安定した需要増大が期待される医療機器/ヘルスケア産業は今後も有望分野の一つ。特に先端医療における検査・治療機器や手術機器などの高度化に、最先端の電子部品技術を求めている。

 先進国を中心に世界的な少子高齢化が進む中、医療機器産業の役割はますます重要性が増していく。

 中でも速いスピードで人口動態の高齢化が進む日本では、医療技術の進歩が一層求められている。同時に、医療機器市場は国内にモノづくりが残る産業分野の一つとしても重要視される。

 医療機器市場の裾野は広い。病気の診断や検査用の機器・装置をはじめ、治療用機器、手術用機器、画像・映像関連機器、人工関節や人工骨などの医療器材、歯科材料、介護/アシスト用ロボットなど、様々な製品分野がある。

 昨今の新型コロナウイルスの感染検査に使用されるPCR(核酸増幅)検査装置でも、高性能な電子部品が多用される。

 さらに、外科手術時に医師の負担を軽減する手術用機械や、在宅医療・遠隔医療関連のネットワークシステム、AED(自動体外式除細動器)などがある。今後も様々な新しい医療機器の創出が見込まれている。

 ヘルスケア・ホームヘルス関連機器も、血圧計や低周波治療器、補聴器、家庭用マッサージ器、電子式体重計/体組成計など多様な機器があり、最近は腕時計型などウエアラブル型健康機器の需要も増加している。

 医療用モニターや内視鏡などの分野では、民生市場に先行し、超高精細の「8K」の活用が進んでいる。

 一例としては、大学病院での医学教育のため、外科手術の様子を8K医療モニターを通じて医学部生がリアルタイムで視聴するなどの活用がある。名医による微細な血管縫合技術などを高精細な画像で体験することで、技術伝承が志向されている。

 手術機器分野では、最も高精細画像技術が求められるのが内視鏡システム。高精細な8K映像技術を活用することで、より微細な病変を発見可能となる。内視鏡手術時にカメラを後方に引いて設置できるため、手術空間を広く取れることにもつながる。

 遠隔・在宅医療分野でも、8Kによる高精細画像やリアルな色表現が、的確な診断に寄与するものとして期待されている。

 介護・福祉ロボットも今後の成長が期待できる分野。医療系ロボットには、フォースセンサーや角度センサーなどの高性能な産業用センサーが多用されている。

 医療用画像系装置であるMRIやCT(コンピュータ断層撮影)装置、超音波診断装置向けの電子部品開発も進展している。医療用画像系装置分野では、日系医療機器メーカーがグローバルでも高いプレゼンスを持ち、海外輸出モデル向けの部品需要増大も期待されている。

 医療機器/ヘルスケア分野でも小型・軽量化やポータブル化が追求され、電子部品各社がスマホなどの市場で培ってきた微細化技術の活用の場も広がっている。

 電子部品・デバイスメーカー各社は、高周波技術やセンサー技術、微細精密加工、微細精密回路、高速伝送技術、光学技術、ソフトウエア技術、材料技術などを駆使した医療用センサーやコンポーネントの開発を推進。機器の高精度化や患者の負担軽減に向けた技術開発を推進する。

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