2020.03.26 東京五輪延期でスポンサー企業にも影響 電機各社、情報収集など対応始める

パナソニックのミスト式エアコンは東京五輪での熱中症対策などでも使えるシステムとして開発

NECは顔認証システムを使った入場システムを納入する予定(写真は19年ラグビーワールドカップで運用したシステム)NECは顔認証システムを使った入場システムを納入する予定(写真は19年ラグビーワールドカップで運用したシステム)

 東京五輪の延期が決まったことを受け、大会のスポンサーを務める企業は状況の把握などに動き始めた。

 主要電機各社もスポンサーになっており、資金面だけでなく大会施設のインフラ支援などを進めている。

 現状では延期の時期などが決まっていないため影響の範囲は未知数だが、会場設備の納入などにズレが生じることや開催時期が伸びればスポンサー契約の延長交渉も不可避となる。

 24日夜の延期発表を受け、経団連や日本商工会議所など経済界からは「(延期は)やむを得ない」という声が挙がる半面、スポンサー企業などは、中止を避けられたことを前向きに捉える声も多い。スポンサーの主要電機各社は大会に向けてインフラ設備の支援をはじめ様々な分野で施策を打ってきており情報収集などに追われた。

五輪後見据え需要創出

 ワールドワイドオリンピックパートナーのパナソニックは、いち早く東京オリンピック・パラリンピック推進本部を立ち上げて関連事業の創出に努めてきた。

 既に関連事業で当初計画を上回る2000億円以上の販売が見込める状況で、大会に直接関係する競技場や選手村などの施設向けの直接案件で340億円以上になる見通し。都市開発やホテル、空港や鉄道など関連需要で1360億円以上になることを明らかにしている。

  実際パナソニックでは五輪以降を見据えた事業創出に取り組んでおり40社を超えるパートナーと進める実証でも成果を挙げてきた。今回の発表を受け同社は「IOC、大会組織委員会の決定を支持し開催に向け協力していく」とコメント。これまでの取り組みを引き続き進めながら五輪の延期対応をしていく。

 併せて進めている五輪向けのキャンペーンやCMなどに関しても状況を見ながら柔軟に対応する考えだ。

安全・安心な大会へ協力

 東京2020オリンピックパートナーのNECは「選手や観客、運営スタッフなどあらゆる関係者にとって望ましい環境で大会を迎えられることが最良と考えており、今回の開催延期の決定を尊重する」とコメント。

 国際オリンピック委員会(IOC)や組織委員会、東京都などと密に連携し、安全・安心な大会の実現に向けて最大限協力していく考えを示した。

 大会では独自の生体認証技術を活用した顔認証システムによる入場管理の仕組みを納入することが決まっている。IDカードと顔画像をひも付けて安全かつ円滑に入場できるシステムで、選手やスタッフ、ボランティアら大会関係者約30万人を対象に本人確認をする予定だ。「延期後の会場の確保の問題など、関係者らと精査しながら対応する」(同社)とした。

 三菱電機は、延期の影響について「状況を注視して対応していく」(広報部)とする。東京五輪・パラリンピックに向けて実施してきた「Going Upキャンペーン」やセミナーなどの障がい者スポーツ普及活動についても「新型コロナウイルスが収束し次第、引き続き実施していく」とコメントしている。

 NTTは、関係機関の検討の動きを踏まえて「検討準備を進めていきたい」とのコメントを出した。

 東京五輪を見据え、昨年夏、通信ネットワークやサイバーセキュリティ対策などを提供する役割を担うと発表。例えば、主要会場に世界最高水準の高密度なWi-Fi環境を構築。次世代高速通信規格5Gを生かして、新たなスポーツ観戦の可能性を示す方針を明らかにしていた。