2024.01.01 【AV総合特集】各社の24年事業戦略 日本アンテナ 瀧澤功一社長

 昨年は、新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴い経済活動の正常化が進んだ一方で、円安や資源・原材料価格の高騰による物価の上昇が継続するなど、当社を取り巻く経営環境は非常に厳しい局面を迎えている。

 早期の業績回復を図り持続的な成長を可能とするために、収益につながるさまざまな取り組みを引き続き行っていく。

 一例として、当社がこれまで培ってきた〝つなげる〟技術を生かして生みだした遠隔監視のソリューションがある。

 代表的なものとして、消防救急デジタル無線設備の更新・維持が検討されている状況を踏まえ、「遠隔監視機能で消防救急デジタル無線設備の保守を容易にする空中線共用装置」を開発した。

 新たに開発した装置は設備全体をカバーする監視機能を新たに搭載したことで、遠隔拠点から動作状況を把握できるようにした。

 これにより、従来の設備では人力での定期的な点検のみに頼っていることで経年劣化の把握が困難だったのに対し、新たに開発した装置を活用することで劣化による故障を未然に防止できるようになった。

 また、遠隔監視においては、ため池の決壊などの防災対策に活用できるよう、離れた場所からリアルタイムに水位状況をモニタリングできる「防災重点ため池向け ため池水位遠隔監視システム」の普及に力を入れている。

 このシステムを導入することで、ため池のかんがいや洪水調整を行う管理者の負担低減を図ることができるようになる。当社コミュニケーションサイト「日アンねっと」に特集ページ「防災重点ため池向け ため池水位遠隔監視システム」を開設し、提案をしている。

 防災の観点では、Jアラート(全国瞬時警報システム)の確実な受信環境を整えて地域住民の安心・安全に貢献できるよう、「Jアラートに対応した受信アンテナや周辺機器」の提案活動も強化している。

 この機器も日アンねっとの特集ページ「Jアラート対応製品ラインアップ」で詳しく説明をしている。

 他社との共創にも取り組み始めた。熊本大学発ベンチャー企業のCAST(熊本市中央区)と「配管減肉モニタリングシステム」に関する業務協力を行い、当社は、遠隔モニタリングしたデータのリアルタイム共有に不可欠なアンテナ・無線技術を提供することになった。同時に導入拡大に向けた営業協力を行っていく。

 減肉は高温・高圧の水流などによって配管の厚みが削られる現象で、このシステムを使用することで、現場での事故防止だけでなく検査の負担低減に貢献し、設備寿命の延命にもなるとみている。

 これらはいずれも当社の「サステナビリティ基本方針」に基づいた取り組みの一環として、今後もさまざまなフィールドで社会課題の解決に尽力し、サステナブル社会の実現に寄与すべくまい進していきたいと考えている。