2024.01.01 【AV総合特集】各社の24年事業戦略 ラックスマン 末吉達哉代表取締役社長

 コロナ禍の巣ごもり需要でおうち時間を充実させようとする機運が高まり、オーディオ機器の需要にも好影響を与えた。その傾向は昨年も続き、当社の販売も国内外で順調に伸びている。昨年発売した新製品も、お客さまから高い評価をいただいている。

 新たなフラッグシップ機として製品化したプリメインアンプ「L-509Z」とプリアンプの「C-10X」には、2025年に創業100周年を迎えるに当たり、次世代のアンプ回路を担う高音質・増幅帰還エンジンとして開発した「LIFES」を搭載している。

 音楽の表現の幅を広げる核となる技術で、このLIFESを各ジャンルの製品に落とし込んでいくのが当面の製品戦略になる。プリメインアンプのスタンダードモデル「L-505Z」にも搭載して昨年12月に発売しており、今年も他製品への展開を推し進めていく。

 当社初のネットワークトランスポート「NT-07」にも期待している。音楽を聴くスタイルは様変わりしつつあり、ストリーミング音源を高音質化するニーズがこれからはもっと高まるはずだ。

 ハイレゾ音源をストリーミングで聴けるサービスが充実してくれば、NT-07のような製品はもっと引き合いが強まるだろう。若年層に購入層を広げられる可能性もある。今後、大きなチャンスがあると見ており、今から手を打っていく。

 海外展開にも力を入れている。現在の売り上げは国内が6割、海外が4割といった程度だが、海外の売り上げ構成が増えてきている。

 昨年11月に東京・有楽町で開催された「東京インターナショナルオーディオショウ」でも、来日した海外の販売代理店から「ぜひ扱いたい」と言われ、新たな商談につながった。

 コロナ禍が明け、こうしたリアルイベントが開かれるようになったからこそ、新たなお客さまとの接点が増え、ビジネスチャンスが広がっていると感じる。

 海外は米国、ヨーロッパ、アジアを中心に展開している。これまでは注文があっても供給することが難しく、お断りすることもあったが、ようやく供給体制を整えることができた。海外は販売できていない地域も多く、チャンスは非常に大きいと思っている。今年も販売代理店と連携を深め、販売網を拡充していく。

 これまで新製品は、最初に日本で発売していた。しかし今年は、海外から先に発売することにチャレンジしようと思っている。その後に日本で発売する流れだ。

 これは単に海外重視の姿勢というのではなく、100周年に向けて当社もさまざまなことに挑戦していこう、という考えの一つと捉えてもらいたい。日本で高い評価を受けた製品は、海外でも参入のきっかけに生かせることに変わりはない。そのためにも高評価へとつながる新製品の開発を継続し、「ラックスマンブランド」をさらに高める取り組みを今年も進めていく。