2024.01.10 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略 立隆電子工業 呉志銘社長

呉 社長

高信頼性の製品・サービスを提供

 マクロ経済の不確実性が世界の消費トレンドに打撃を与えている。消費者はエレクトロニクス製品にお金を使うよりはむしろ食費や教育費に使うようになっている。

 そうしたことから電子部品業界の低迷は2024年まで続くのではないか。

 24年は、自動車メーカーがEV(電気自動車)の開発や新車種に先端車載機能を導入していくことにより、当社においては車載関連部門が売り上げをけん引するだろう。

 23年の当社の売り上げは車載関連が22年の22.88%から30%へと大きく増えている。

 24年はEVへのトレンドがさらに高まることが予想される。アルミニウム電解コンデンサーは、EVの急速充電を含む重要なプロジェクトの一つになる。EVは24年のビジネス見通しにプラスになるだろう。

 一方、当社は車載以外の重要な市場として電源およびグリーンエネルギー分野のビジネスを開発してきた。加えて24年からはテレコム/ネットワーク分野、特にAI(人工知能)を必要とするアプリケーション分野の製品強化を図る。

 多くの国でブロードバンドネットワークのインフラ構築が進むと、ネットワーク機器のアップグレードの必要性が高まる。AIサーバー市場も成長の勢いの一つになる。

 当社はこのほど、タイ・バンコクの中心部から車で1時間半程度の場所に位置するタイ・チョンブリ県アマタシティにある大規模工業団地に、2億6000万バーツ(約10億6000万円)を投資して工場を建設することを発表した。

 チョンブリ工業団地と呼ばれるこの工業団地には770社以上もの工場が林立し、車載関連の日系企業が進出している。

 タイはインフラも整い労働力の制約も少ない。近い将来、アジア最大の自動車生産拠点になるだろう。日系自動車顧客の多くがタイに工場を構えているため、納期の短縮にもつながる。

 タイ工場は、恵州、蘇州の第一工場、第二工場に次ぐ、当社で三カ所目の工場となる。

 インフレ、金利、地政学的要因は引き続き世界経済に影響を与えるが、24年の全体的な状況は23年に比較すると安定するだろう。しかし経済環境は急速に変化する。慎重に市場動向を見極めながら、引き続き製品に付加価値を創造し、生産プロセスと設備への投資を最適化し、顧客に信頼性の高い製品とサービスを提供していく。