2024.01.10 【部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略】 指月電機製作所 足達信章社長

足達 社長

ROE意識しつつ大型投資継続

 パワーエレクトロニクスの普及を背景に、電気をつくる側、送る側、使う側において当社の出番はまだまだある。長期経営ビジョン(2019~28年度)の第Ⅱ期中期経営計画(22~24年度)、第Ⅲ期中期経営計画(25~28年度)の成長エンジンとなるもので、これまで培ってきた技術を横にも融合にも使い、顧客、市場ニーズに応えていく。

 23年9月に幕張メッセで開催された「グリーンファクトリーEXPO」に初出品したV2X対応EV用充放電器「EXCEV(エクシーブ)」は、電気をより良く使う電力マネジメントの技術を生かし、EVのバッテリーに蓄えた大容量の電気を、工場稼動時のピーク電力カットや災害時の非常用電源として活用できる環境省エネ事業商品だ。早期に出荷し、事業所や工場の脱炭素化に貢献する。

 回生電力再利用のインバーター装置「PAR-CuBe(パルキューブ)」は、トヨタ自動車元町工場における実証実験で省エネ効果を確認した。トヨタの他工場へ展開する。

 28年度までに環境省エネ新商品をもう一つ出す。長期経営ビジョンで、挑戦する社風への変革を掲げ、工場や事業の垣根を越えた連携が進み、一人一人の挑戦が大きな力となり実を結びつつある。

 コンデンサー事業は産業機器市場をけん引しながらxEV用製品で培った生産ノウハウを横展開し収益向上に取り組む。電力機器システム事業は国内市場規模減を環境省エネ製品の機能拡張や市場開拓でカバー。既存品の原価抑制と高付加価値商品の増販で高い利益率の維持を図る。

 23年度の売上高予想を266億円から262億円に修正したが、24年度売上高280億円の目標は変更せず、創業90周年を迎える28年度に売上高400億円を目指す。

 23年度の経営方針が計画通りに進まない原因を分析することが重要であり、PDCAを回すことが計画達成には欠かせない。24年度は環境対応へのトレンドは大きく変わらないが、全体の市況は23年度より少し弱含みとみている。

 ROEを意識しながら、23~28年度6カ年累計で土地建屋、設備に50億円ずつの計100億円の大型投資を計画通り実施する。