2024.01.10 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略 SMK 池田靖光社長
池田 社長
付加価値を高めて成果を上げる
2024年の市場展望は、JEITA(電子情報技術産業協会)予測ではスマートフォンやパソコンの回復が見込まれ、当社としても期待したい。自動車はEVやADASの需要がさらに増加。生成AI(人工知能)の本格化でサーバー関連需要の回復も見込まれる。
21年度からスタートした中期経営計画(3カ年)では、「新たな成長に向けて―Confidence&Transformation」をテーマに取り組んできた。重点市場は「CASE」「5G」「ウエアラブル」「IoT」「ヘルスケア」の五つを掲げている。
現在は24年4月にスタートする次期中計を策定中だが、現中計で達成できたこと、できなかったことを精査し、成長に向け、これまでの延長線上ではない施策を練る。24年度業績は、為替レート設定にも左右されるが、売り上げは電子部品業界の伸長予測値である6~7%くらいの増収は目指したい。営業利益は付加価値製品の投入、生産性改善などで採算性を高めていく。
23年末に本社で開催した「先行開発展」に海外販社の営業担当者を呼び、日本の生産現場なども見学・理解してもらった。今後も製販の連携を通じて海外ビジネスを拡大させる。
新製品開発はCSとSCI、開発センターの各部門での開発とともに、各部門の技術を融合した製品開発も活性化したい。オープンイノベーションにも力を注ぐ。生体情報センシングやアルゴリズムなどで付加価値を高め、次期中計期間には実ビジネスでの成果を上げていきたい。シミュレーションソフトなども活用し、設計生産性を上げる環境づくりにも取り組む。
新規事業では、通信関連は、Sub-GHzモジュールをオフィスや物流分野に展開するほか、小型NFCアンテナや筋電センサー、生体センサーに注力。特に、イスラエルEchoCare(エコケア)社のUWB方式見守りシステムでは、浴室内高齢者事故低減提案などを進める。国立循環器病研究センター、米Canary Speech社と共同で進めている音声認識技術を活用した認知症診断支援アルゴリズム技術も、各分野に展開したい。
当社は、25年4月に創立100周年を迎える。次期中計は、次の100年に向けSMKが持続的な成長をするために重要な計画になると考えている。