2024.01.10 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略 ニチコン 森克彦社長

森 社長

コンデンサー、NECSTに力

 2025年度連結売上高2000億円、連結営業利益率10%以上を掲げる中期成長目標「Vision 2025」をやり切るため、コンデンサー、NECSTの両事業にしっかり取り組む。長期目標の30年度連結売上高5000億円を、両事業半分ずつで達成したい。

 24年は自動車向けが現状の良い状況が続くが、産機・エアコン向けは顧客に部品在庫があり、回復にまだ時間はかかるが、産機は早く回復するとみている。情報通信向けは生成AIのサーバー向けは好調だが、パソコン向けが成熟市場となり、これまでの勢いは期待できない。環境負荷低減製品は、カーボンニュートラルの追い風を受けて好調が続くと予想している。厳しい市況になりそうだが、コンデンサー、NECSTの両事業をバランス良く伸ばしていきたい。

 BtoBのコンデンサー事業は、高付加価値製品を拡大し、利益を上げる体制づくりを加速する。成長が見込めるxEV向けの導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサー、チップアルミ電解コンデンサー、フィルムコンデンサーに積極的に投資し増産を進める。売れる製品開発を同時に進め、既存顧客でのシェアアップ、新規顧客獲得に力を入れる。生産性向上、歩留まり改善の地道な活動に、売り先、やり方、仕組みなどを変える取り組みや、実現可能なドラスチックなことも必要だ。ニチコン大野に生産を集約し、一人のオペレーターによる自動生産を実現したφ18ミリメートル一般アルミ電解コンデンサーのコンセプトを国内外のコンデンサー工場に横展開して生産の自動化、省人化にも取り組む。成長市場のインドは自動車、産機・エアコン向けに力を入れ、欧州は自動車向けを中心に販売を伸ばしていく。

 BtoCのNECST事業は、主力工場のニチコン亀岡に建設した新生産棟を今春本格稼働させ、ニチコン亀岡の急速充電器、V2Hシステム、ハイブリッド蓄電システム用パワコンの生産能力を25年度に現在よりそれぞれ8倍、4倍、4倍に増やす。25年度以降の増産はニチコン亀岡に新たに生産棟を建設する方向で検討していく。SiCパワー半導体を使った優位性のある製品も投入する。デザインも外部から人材を入れ強化中だ。消費者の信頼度を大切にしてブランド力向上にも取り組む。