2024.01.10 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略 タイコエレクトロニクスジャパン 鶴山修司社長

鶴山 社長

E-モビリティーなどで成長

 2023年度(23年9月期)は、ダイナミックな市場環境の中を歩み続けた。一つは、コロナの終焉(しゅうえん)が見えてきて、市場が活性化しつつある中で、半導体調達難の状況が続いた。顧客在庫調整による産機関連需要減速やサプライチェーンの改善などの課題を乗り越えていく一年だった。しかし、この一年は24年に向けた良い準備期間になったのではないかと思う。

 24年は重要な年になると考えている。市場がアップトレンドおよびダウントレンドの双方向に向かう中で、トレンドをつかむことが重要になる。特にオートモーティブ関連は、「E-モビリティー」への変換期を迎えており、コネクターへの技術要求も、高電圧高電流対応などさまざまな技術力が試される。そうした中で、当社では明るい見通しを持っている。

 24年は引き続き、E-モビリティーや再生可能エネルギー、AI(人工知能)などの主要トレンドを駆使した成長を推進し、世界中の顧客とともに革新を続けることに注力する。

 TEはE-モビリティーに関する充実と、幅広い製品ポートフォリオを持つ。E-モビリティー戦略では、急速充電のニーズに対し、高電圧、特に効率に優れるとされる800V仕様ソリューションの提案に力を入れる。日本市場でも今後、従来の400Vに追加で800V仕様の導入が起きると考えている。800VソリューションでTEは世界をリードし、日本の800V電動化の流れに貢献していきたい。

 TEはグローバル企業として、多様な人材に強みを持つ。TEジャパンも同様で、多様な国籍や価値観などを持った人が数多く存在する。TEグローバル全体では、22年度の全管理職に占める女性管理職の比率が27%、26年度ごろにはその比率を30%超に高める目標を設定した。TEジャパンもこれに追いつくべく、女性の管理職登用の推進や採用を積極的に行う。

 TEは、多様性を育む社内風土づくりの一環として「ERG(Employee Resource Groups)活動」を推進しており、グローバル全体で八つのERGがある。その一つとして、女性の活躍と包括的で多様な環境づくりを促進するためのグループ「WIN(WO+MEN IN NETWORKING)」の活動を推進している。日本のWINの活動は、ここ数年はコロナの影響もあったが再度、力を入れていきたい。