2024.01.09 【製造技術総合特集】製造装置 主要各社の24年戦略 東レエンジニアリング
岩出 社長
社内DX推進し生産効率改善
工学系大学院研究室に寄付金
東レエンジニアリングは半導体市況が停滞する中、車載向けパワー半導体の投資が継続し、ウエハー外観検査装置「インスペクトラ」が好調だ。
補助金の縮小など施策の見直しもあって欧州のEV市場は成長が軟化傾向だが、ハイブリッド車は堅調を維持する。
岩出卓社長は「ハイブリッド車でもEVでもパワー半導体は使用するため、検査装置の引き合いは続いている」と説明する。
リチウムイオン電池(LIB)電極用の塗工装置はEV向け投資が低調で、中国顧客の稼働率が低下。一方、米国での投資は順調だ。
今年は独ミュンヘンに開設したデモルームでの紹介を通じた欧州での販売活動の成果も見込まれる。
航空機の組み立て用で部材を締結するリベッターはコロナ禍で引き合いが止まっていたが、需要が生じており、今年は案件化する予定だ。
プラント事業も医薬分野の市場拡大で順調。2023年度の通期売上高は過去最高を達成する見通しだ。LIB用塗工装置と半導体市況の立ち上がり次第な面もあるが、受注残も多いことから24年度も高い水準を見込む。半導体検査装置は来年後半からロジック向け需要の回復を見越す。
30年度に売上高1700億円を掲げる。岩出社長は「目標達成には一人当たりの生産性向上とともに大きな成長事業が必要になる」と強調する。半導体検査装置の用途拡大は一つの鍵だ。マスクに描画されたパターンと設計データを照合する「ダイツーデータベース」の強みを生かし、歩留まり改善にさらに寄与できれば検査装置の活用が増えると期待する。
24年は社内のDXをさらに推進していく。ベンダーの設備稼働率などサプライチェーンの情報をきめ細かく把握して分割発注を行うなどして、生産効率の改善につなげたい考えだ。
工学系大学院での研究を応援して研究室に寄付金を贈る取り組み「トレンジサポート」は50件超の応募があり好評だった。今年は2回目の開催を計画している。次世代エンジニアの育成に貢献していく。