2024.01.09 【製造技術総合特集】製造装置 主要各社の24年戦略 日本アビオニクス
竹内 社長
接合4工法から最適な提案
フラックス不使用のはんだ付け
日本アビオニクスは竹内正人社長が就任した2019年度から業績は黒字転換し、4期連続で増益を遂げている。竹内社長は「技術力とものづくり力、営業力の融合で顧客価値の向上に力を入れている」と述べる。
接合機器事業は抵抗溶接、超音波、パルスヒート、レーザーの接合4工法から最適な提案をできるのが強み。赤外線サーモグラフィーを用いたセンシングソリューション事業と並ぶ民生事業の柱だ。
接合の市況はスマートフォン関連の電子部品市場が停滞を続け、市場回復は来年度以後にずれ込む見通し。一方、EV化の拡大で電池やモーター、ハーネス、水晶デバイスなどの設備投資は活況だ。
電池向けでは、電極タブに銅合金を使った円筒型電池に対し抵抗溶接機を提供。銅合金は発熱しにくい性質があるが安定した溶接が可能で、高速充放電の実現につながる技術だ。
全固体電池の技術進化にも対応する。セラミックパッケージ型全固体電池の封止に水晶デバイス向けで多く採用されているシーム封止装置を適用。全固体電池セルの組み立てでも異種金属接合が可能な超音波金属接合機を訴求する。
モーター向けでは皮膜線のヒュージングに抵抗溶接機を提案。はんだ付けや被覆線をはぐ工程が不要で生産性の向上も図れる。大電流化に伴う車載ハーネスの太線化には超音波接合が対応可能。太径ハーネス接合に最適な高出力の超音波金属接合機を開発中だ。
昨年発表したフラックスレスはんだ付け装置はパルスヒートと超音波を融合した独自の技術でフラックスを使わずにはんだ付けが可能。フラックスに起因するボイドを排除し、洗浄工程も不要でギ酸も使用しない新工法は展示会で注目を集めた。
持続的社会の実現に向けた基本方針を昨年末に公表した。低温・短時間で接合できる同社の超音波溶着機なら常時通電による溶着に比べCO₂排出量を約9割低減できる。竹内社長は「サステナビリティーの実現に貢献するこうした製品の提供をさらに進めたい」と話す。顧客の省電力化や効率化に役立つ製品やサービスの創出に一層力を入れる考えだ。