2024.01.12 【放送/機器総合特集】24年 年頭所感 衛星放送協会 小野直路会長
小野 会長
新販路獲得への課題と向き合う
番組アワードの発展に期待
1月1日に発生した能登半島地震において、多くの尊い人命が犠牲となりましたことに対して、謹んで哀悼の意を表します。また、被災された全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。
昨年は新型コロナが沈静化し、さまざまなイベントが通常開催に戻りました。3月のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)、9月のラグビーW杯では、満員のスタジアムで声援を送るファンの姿が衛星放送で映し出されました。
こうした話題に後押しされ、4K8K衛星放送が視聴可能な機器の出荷台数は、昨年10月末時点で約1770万台に増加しました。
この追い風を有料・多チャンネル放送の市場拡大に結びつけるため、衛星放送協会では視聴環境整備の推進と伝送路などインフラコストの低廉化、コンテンツの充実を掲げて取り組んでおります。インターネットによる動画配信サービスが広がり、時間と場所に縛られないコンテンツ視聴が日常となりました。
放送事業者はお客さまの獲得に向けて、固有の伝送路だけでなく、配信と組み合わせた見逃し視聴サービスの充実など、新販路にかかる諸経費や著作権処理などの課題と向き合っております。
昨年11月24日に、BS放送の右旋帯域における衛星基幹放送(4K放送)の業務を認定された3者が公表されました。これを受けて総務省の「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」の中に「衛星放送ワーキンググループ」が立ち上げられ、衛星放送に係るインフラコストの低減と左旋の空き帯域の有効活用、右旋帯域の有効利用、持続可能な衛星放送の将来像をテーマに、検討が予定されています。当協会も関係団体としてオブザーバーに加わり、各課題の解決に取り組んでまいります。
さて、当協会が2011年から開催する「オリジナル番組アワード」は、応募する会員社、作品数ともに昨年から増加しました。これまでスカパーJSAT、JCOMの協力で授賞式番組を放送していますが、昨年はさらに全国のケーブルテレビ(CATV)11局でも放送されました。
そして、角川アスキー総合研究所がネット上で運営するASCII.JPに、オリジナル番組アワードの専用ページを開設いただき、受賞作品の紹介や、制作者インタビューがSNSで拡散するなど、加盟社の作品は全国に知れ渡るようになりました。コンテンツを軸にした異業種との連携の機運も高まっており、アワードを通じた事業者間の交流と、ビジネスの発展に期待しております。
ネット上には正誤判断がつかないフェイク情報の拡散が、社会問題になっています。当協会では、放送に対する信頼性の向上を放送事業者がいっそう強く意識して取り組むべき課題と捉え、活動の重点項目に「放送倫理の向上と法の順守」を加えて取り組んでまいります。
総務省をはじめ関係団体との連携を強化し、有料・多チャンネル放送の市場拡大に向け諸課題の解決をサポートしてまいります。