2024.01.16 【半導体/エレクトロニクス商社特集】半導体/エレクトロニクス商社 24年の経営戦略 飯田通商 山﨑隆博社長

山﨑 社長

海外事業、インド展開を含め検討

 飯田通商は1965年の設立以来、地道な活動を積み重ねて事業を拡大し、国内のほか中国、ASEAN各地に拠点を構えてグローバルビジネスを展開している。

 山﨑隆博社長は「2023年は半導体や電子部品の需給は一部でまだタイト感が残り、まだら模様の面はあるが、かなり通常に戻ってきた」と振り返る。以前から注力している産業機器や医療機器分野は投資も盛んで売り上げ増につながった。

 特に、ヒロセ電機やローム、ニチコン、岡谷電機産業など大手サプライヤーと長年培ってきた強固な関係に支えられた積極的な売り込み活動が、コロナ禍でサプライチェーンが不安定になる中でも奏功。顧客の信頼につながり「新たな商流獲得にもつながった」と手応えを話す。

 また、ヒロセ電機の22年展示会後の新製品や、ローム製GaNも加えたパワーデバイス、ソニー製センシングデバイスなど、幅広い製品群を束ねた「客先持込展示・技術提案会」をサプライヤー各社と連携を一層高め、強力に実施している同社。これらの取り組みが入り口になり顧客の現場の課題、ニーズをつかみ、かゆいところに手が届く提案活動につながる利点もある。

 内外の拠点拡充の中で、近年は海外の拠点拡充を積極化。中国は新たに24年1月、杭州に新拠点を開設、海外販売拠点が20に。さらに中国内陸部方面に新拠点を検討している。

 同地域ではローカル企業向けビジネスに重点を置き、医療機器分野への取り引きが拡大するなど、現在は中国売上高の約5割を占める。山﨑社長は「ASEAN以西へはインド展開も含め検討を進めたい」と海外事業の次の方向性を示す。

 中長期の海外人財強化の一環で、若手のうちに年数限定で海外を経験させる取り組みも始めた。その成功体験を国内に持ち帰り、ある程度の経験を積んだ後、今度は中堅として再度、海外拠点で活躍してもらえれば、という狙いがある。

 24年については「電子部品需要は確実に増加している。当社はサプライヤーの数や取り扱う商材も拡充。顧客数も幅広い。商社の役割をしっかり果たし、新年もさらなる成長に向け積極的に、強気にいきたい」と社員にげきを飛ばしている。