2024.01.18 【情報通信総合特集】ソリューションプロバイダー 24年の見通し・経営戦略 OSK 橋倉浩社長
DX統合パッケージを強化
新年度、過去最高の開発投資
昨年はインボイス制度と電子帳簿保存法(電帳法)改正への対応が前半を中心に大きく伸びた。このタイミングに向けて数年前から準備を進めてきた成果であり、2023年度は通期で増収増益を達成できる見通し。
受け皿となったのが企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する「DX統合パッケージ」。販売・会計・人事給与の主力基幹系システム「SMILE(スマイル)V2」と、ワークフローやドキュメント管理を担う情報系システム「e Value(イーバリュー)V2」を組み合わせ、昨年から提供を開始した。これにインボイスと電帳法対応の機能も追加したことで収益に貢献した。
急速に普及する生成AI(人工知能)を含むAI分野に対応するため昨年8月に研究開発推進課を立ち上げ、急ピッチで体制を強化した。課員も倍増させたほか研究開発費は前年比30%増の予算をつけた。社員公募の提案から優秀なアイデアの事業化も検討していく。
DX統合パッケージもAI連携を進めている。スマイルに集積されたデータと天候の外部データを組み合わせ販売を予測する仕組みも考えたい。
地域の中小製造業者をターゲットにした生産・販売管理支援の取り組みも伸びている。22年4月に立ち上げた業種推進課の若手営業社員を中心に、工場を直接訪問してヒアリングなどを重ね、業種ソフト系の売り上げは2.8倍になった。今後も多品種小ロット生産の中小加工業のデジタル化支援を本格化させていく。
こうした成果もあり、親会社の大塚商会に頼らず当社が直接販売する外販ビジネスも売り上げで23%伸長した。全体に占める外販の割合を現状の18%から30%まで引き上げていきたい。
新年度のスローガンは「スピード感ある価値の創出で変革し続ける」。前年度比15%増の資金を投じ、過去最高の開発投資を計画している。ただ、開発投資のボリュームが大きいだけでは意味がなく、質の伴った開発でなければならない。提供したことがゴールではなく、価値を創出し提供し続けることが重要不可欠と考えている。
新年度は次期新製品として、スマイルとeバリューをクラウドで提供する「Air」の強化に着手する。ユーザーインターフェース、ユーザーエクスペリエンスを改善し、クラウドネーティブな基盤に刷新。既存ユーザーにスムーズに移行してもらえるよう開発を進めている。26年末にはリリースしたい。