2024.01.18 【情報通信総合特集】ソリューションプロバイダー 24年の見通し・経営戦略 東芝ITサービス 多田智紀社長

セキュリティーサービスを確実に
保守網とサービス力をPR

 東芝デジタルソリューションズグループで保守サポートを進める中核企業として、グループで展開するシステムの保守支援を担うだけでなく、グループ外企業に向けて独自に保守サービスを展開してきた。2023年度は①グループ外の第三者(サードパーティー)保守への注力②セキュリティー/ネットワーク技術者の育成③顧客対応支援強化④生産性向上―を重点施策に掲げ取り組んできている。

 当社は全国110拠点、1500人のCSE(カスタマー・サティスファクション・エンジニア)による24時間365日の支援体制を強みにしてきた。この3年で体質も強化でき、営業利益率も2桁を達成できている。

 保守網を生かしたサードパーティー保守は、外資系ベンダーと提携し当社が一括して支援しているほか、国内大手SI(システム構築)企業と協業し保守支援を進めている。こうした協業を今後も広げていきたい。

 得意のネットワークとセキュリティーの領域は技術力を高めていく。技術資格の取得だけでなく、監視運用も含めた支援を進めたい。コンタクトセンターとSOC(セキュリティ運用センター)を移転増床し最新の設備にしており、保守と運用を組み合わせたマネージドサービスをできるようにしていく。加えて工場などのOT(制御運用技術)分野のセキュリティー支援も本格化した。23年10月にはセキュリティビジネス推進部を設立。東芝グループのITとOTセキュリティーのノウハウを生かした支援を加速させる。

インタビューに答える多田社長

 AIなどデジタル技術を使ったツール開発も進めている。これまでCSEの保守を支援する仕組みを構築してきた。スマートフォンを活用したカルテを実現しているほか、スマートグラスによる技術支援体制も構築済みだ。現在はAIを活用してCSEの生産性を高めるツール開発に取り組み、自動ディスパッチ(派遣)などを高度化している。顧客向けの情報共有サイト「お客様ポータルサイト」も開設した。保守の受付プロセスを確認できるサイトで、パートナー企業を含めて情報確認できる。安心して保守対応が受けられるようになったとみている。

 24年は、これまで整備してきたセキュリティーサービスを確実に立ち上げたい。ITだけでなくOTセキュリティーも重要になってくる。セキュリティーサービスを展開するパートナー企業も増やしたい。あわせて当社の保守網とサービス力をさらにPRできるようにしていく考えだ。