2024.01.18 【情報通信総合特集】ソリューションプロバイダー 24年の見通し・経営戦略 三菱電機ITソリューションズ 山本徹雄社長

外販事業DXへの活用に力
「電子薬歴クラウドサービス」伸び期待

 2023年後半も当社の主要ターゲット領域の市場動向は引き続き堅調である。

 主力事業であるヘルスケアでは、昨年6月に開始した保険薬局向け「電子薬歴クラウドサービス」も順調に受注を積み上げている。秋に開催された日本薬剤師会学術大会などの展示会でもその取り組みには大きな反響があり、今後の伸びが期待される。

 当社が掲げる「クラウドビジネス戦略」の三つのスキームのうち、「自社パッケージのSaaS化」では「新就業管理」を開発中で、24年度にリリースする。ユーザインターフェースに重点を置いた設計となっており、働き方改革が活発化して5年が経過し次のステップへの進化が期待される。また、電子薬歴に続く、地域社会における次世代コミュニケーションサービス「AnyCOMPASS」シリーズの第2弾のSaaSも開発中だ。

 もう一つのスキームである「市場評価の高いSaaS製品を当社経由で提供する取り組み」は、予定通り10月に「MDSOLオンラインストア」のサイトを公開した。3月までにHorizontal(全業種型)30製品を投入する。2月に予定しているホームページリニューアルに連動させてデジタルマーケティングを行い、より多くのお客さまのニーズにお応えできるようなサービスを提供する。

 三つ目のスキームでは製造業・サービス業のお客さまに対応するサービスとして、実績のある基幹系コアパッケージと各種SaaSをウェブAPIで連携し、機能補完・強化した「ハイブリッドクラウドモデル」に力を入れていく。現在その準備を進めており、24年度からお客さまへの提案を開始する予定だ。

 23年度は、生成AIの登場によりビジネス形態の変化を予感させる1年だった。今後も想像できない速度で、さまざまな活用法が検証されると思われる。

 24年は当社も生成AIに関して、社内業務DXにとどまらず、クラウドパッケージの組み込みなど外販事業DXへの活用にも積極的に取り組みたい。そのために社内に専門のプロジェクトチームをつくり、適用領域、実現方法の検討を開始した。

 24年もデジタル化、DXニーズは継続すると予想している。創立50周年を迎えた当社にとっても大きな変化点となる年になるのではないか。クラウドビジネスへの転換とデータ利活用に向けた取り組みを加速させるとともに、こうした活動を通じて社会に貢献しつつ、従業員のエンゲージメント向上に向けた取り組みを進めたい。