2024.01.18 【情報通信総合特集】ソリューションプロバイダー 24年の見通し・経営戦略 NECフィールディング 形山嘉浩社長

トータルサポートを拡充、生成AIで社内のDX推進

 デジタルトランスフォーメーション(DX)の浸透で、インフラ系の事業が堅調だ。100億円単位の大型事業があった2022年度からの反動減をカバーする勢いで受注が伸びている。

 昨年10月から、メーカーや機器を問わず保守サポートするマルチメンテナンス事業を全国展開して外資系のサーバーやストレージなど取り扱い機種を拡大したほか、商社系IT企業のプリンターやストレージなどの保守を請け負い、漸減傾向にあるNEC本体の保守事業のマイナス分を補っている。

 特に伸びているのが、クラウド移行が進む自治体向けのセキュリティー対策だ。自治体のネットワークから基盤システムまでコンピューターインフラをまるごと受託するゼロトラストモデルが好調で、大型案件の獲得にもつながっている。

 インフラの設計・構築から、その後の保守まで一貫してサポートする「トータルサポートサービス」は当社の自主事業の主力だ。中期経営計画ではNEC本体からの受託事業と、当社独自の自主事業の割合を50%ずつとしていたが、自主事業の割合が60%に迫りつつある。

 全国340拠点、3200人のエンジニアによる24時間365日体制の保守網を生かして稼働率を上げ、収益力向上につなげたい。

 マルチメンテナンスでは、医療機器やフロンを使う冷蔵機器、ロボット関連の保守も充実させている。医療機器は全国26拠点で扱うことができ、冷蔵機器の保守にはフロン関連機器の資格取得者約250人、エックス線作業主任者約130人で対応している。

 昨年9月に新たなパーツ拠点「相模原テクニカルセンター」を開設した。川崎テクニカルセンターとともに配送業務の事業継続性を担保し、物流網全体のDXを進めていく。

 強みを生かせる領域にリソースと投資を集中し勝ち切っていくために、中計も必要な増強を行っている。

インタビューに答える形山社長

 社内業務のDXに向け、蓄積したデータを活用してコールセンターの応対に生成AI(人工知能)を組み込むなど後方支援のシステムを刷新。顧客への障害対応から部品の配送まで自動化し、生産性向上につなげる。ビジネス手法も、顧客の課題に応じてソリューションを提供するオファリング型に変え、トータルサポートサービスを拡充していく。

 24年も自治体DXは進展し、GIGAスクールも更新期が近づくなど成長機会は多い。中計の施策を実施しながら強みを磨いていきたい。