2024.01.18 【情報通信総合特集】ソリューションプロバイダー 24年の見通し・経営戦略 NECプラットフォームズ 河村厚男社長

生成AIの現場導入検討
「選択と集中」で中計見直し

 昨年はDXの進展でIT市場は堅調で、サーバーやストレージが伸びた。ただ、高速通信規格5Gの導入は足踏みが続き、テレコム市場は厳しい状況だ。

 一方、部材不足の影響は解消されたものの、部品のリードタイムはコロナ禍前の水準には戻っていない状態。変動に対する対応力はついたが、製品を適切に市場に出していくにはもう少し改善が必要だ。

 生成AI(人工知能)をきっかけに、データを活用した価値創造に向けた本来のDXが進むとみている。生産現場の効率化に生成AIがどう活用できるか、画像認識と組み合わせた使い方などマルチモーダル対応も含めて今後導入を検討していく。クラウド上での生成AI活用が進む一方、IoTセンサーとの組み合わせなどエッジ側での活用にも注目していきたい。

 昨年8月から本格稼働を始めた掛川事業所(静岡県掛川市)の新工場で試験導入し、フィードバックを得て新たな価値を生み出す取り組みも考えている。

 新工場には、5Gをエリア限定のローカル5Gをグループで初めて現場に本格導入した。複数台の自律走行ロボットを同時制御して製品や部品を運搬する最先端のスマート工場して整備した。5G活用で得られる付加価値も示していきたい。

 ものづくりでは、良いものをつくれば売れるわけではなく、市場のニーズを見定めた事業展開が必要だ。どの領域で勝負していくのか「選択と集中」を行い、中期経営計画の見直している。作業は大詰めを迎えており、事業の軸足の置き方を変えポートフォリオの変革を具体化するのが2024年度、25年度はそれをベースにジャンプする年にしたい。

 見直しに向けた議論を通じて、社員がやっている事業にどれだけの価値があるのか気付いてくれたことは意味があった。

 尖(とが)ったものをつくるのをやめた途端に技術力は落ちてしまう。ただ、強い製品も単発で出すだけではなく、他社の部品を組み込んだり、パートナー企業のサービスと連携させたり、保守を充実させ、前後のビジネスまで手掛けるモデルにしていきたい。

インタビューに答える河村社長

 部品・モジュールから組み立て製造、システム構築、サービス提供までサプライチェーン全体を通じて企業価値を高める「スマイルカーブ」を意識しながら事業を進めていきたい。

 こうした取り組みを通じて、今年はNECグループとしての価値の最大化のために当社に何ができるのかを議論を深め、生み出す価値を示していきたい。