2024.01.18 【情報通信総合特集】ソリューションプロバイダー 24年の見通し・経営戦略 NSW 多田尚二社長

DXファーストと共創
AI利活用で生産性高める

 2024年度は「デジタル変革による社会と企業の持続的成長の両立」を基本方針に掲げた中期経営計画の最終年度になる。当社はデバイスや組み込みシステムからSI(システム構築)、サービスまで全方位で支援できることを強みに、DXファーストと共創に取り組んできている。足元の受注も堅調で、売上高500億円、営業利益率11%以上の目標をさらに上回れるようにしていきたい。

 現中計は順調なスタートが切れた。初年度の22年度は過去最高を更新し11期連続の増収増益となった。2年度目も順調な滑り出しで、上半期も前年同期比2桁伸長の増収増益となり過去最高を更新した。足元までの市場環境は悪くない。投資は底堅く推移している印象で、DX関連の案件も伸びてきている。

 産業別には、製造や小売向けが堅調なほか、金融・保険のカード決済も良い。新規獲得だけでなく既存顧客への深掘りした提案も成果になっている。サービスはデジタル分野の投資が旺盛で受注、売り上げともに積み上がってきた。デバイスと組み込みは設計開発の領域を請け負っているため部材不足などの影響を受けずにきている。ただ、モバイルなどの領域で投資を抑制する動きが出ており今後は注視していきたい。

 昨年からは生成AIの活用に取り組み始めた。開発生産性向上に向けAIの利活用を推進している社内のAIチームが中心となり横断的に展開し始めている。共創への取り組みも進み、新設したコンサルティングチームによるDXの支援も成果につながりつつある。

 DX実現に向けて新たな取り組みも始まっている。メインフレーム環境をクラウド環境などへ移行する支援をScalar社と連携して始めた。さらにスマートグラスを展開するRealWear社に戦略的投資もした。当社のソフト開発力を生かし、AIとスマートグラスを活用したソリューション展開を加速させていきたい。大学との連携も進み、食品ロスの解決に向けた成果物も出す計画だ。

 24年は投資領域の濃淡はあるものの当社の全方位での対応力を生かして案件を獲得していきたい。23年度の業績も計画以上を目指して追い込んでいく。同時に技術者など社内リソースの確保も課題になるためAIを活用し生産性を高めていく。中計で掲げているサステナビリティー経営も具現化する。当社データセンター「山梨ITセンター」の敷地内に太陽光パネルを設置し、カーボンニュートラルへの活動を加速させていきたい。